21話 虚無 ページ21
隣で目を見開き、呆然としていた楽がいきなり立ち上がり、怖い顔をして「ちょっと行ってくる」と言い、病室を出ていく。
私は、楽にかける言葉がなく、ずっとテレビを眺めることしか出来ない。
『―このたびのLiLiさんの引退表明についてLiLiさんご本人からはまだ何も語られておらず』
何を言っているの?
いつ、私が引退するなんて言った?
たしかに、アイドルをしている意味がわからなかった。でも、こんな形で世間に報道するなんて。
まさか、父さん?
いや、でもそんな話は1度も…。
「っ!?」
サイドテーブルに置いてあったスマホが激しく震えた。
手を伸ばして確認すると、父さんからで。
「明日、顔を見せろ」
とそれだけだった。
幸い、私の方も入院までには至らないようなので助かったが、
また長いお説教コースだろうか。
ため息が出る。
それにしても、楽が心配だ。
父さんのところへ考えなしに突っ込んでいるんじゃないだろうか。
「あれ、また…」
また通知音が響き、確認すると九条くんからで。
「大丈夫ですか。結構な騒ぎになってますけど」
と彼らしい落ち着きのある文章だった。
私はそれに根拠もなく「大丈夫」と返してからまたベッドに横になる。
……少し、落ち着いた。
何故だろう。
さっきまであんなに心臓が騒がしく動いていたのに、今は、恐ろしいくらい落ち着いている。
「……もしかして、やめれるの、かな」
ポツリ呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ききみ(プロフ) - kiraさん» はじめまして！ありがとうございます！！ (2018年3月6日 19時) (
レス) id: acfb49be03 (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - はじめまして！最終話まで読みました！ もう感動です！！これからも頑張ってください！ (2018年2月17日 23時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ききみ | 作成日時：2018年2月1日 23時
