15話 光影 ※ ページ15
「…さすがに、今のは自分でもどうかと」
「まあ、いいんじゃない。LiLiはクールだからね」
ユキさんに恥ずかしいところを見られてしまったが、昨日モモに大体喋られたため、そこまで取り繕おうとは思わなかった。
「ユキさんも、これからお仕事ですか?」
「うん。今日はピンなんだけどね」
「芸人みたいになってますよ」
たしかにRe:valeは夫婦漫才の部分だけ切り取って見たら、顔が良すぎる芸人のようにも見える。
初めは、またモモが無茶ぶりしてるなあと思っていたが、案外ユキさんも乗り気で、面白い方向へと向かっていた。
「七瀬陸くん、彼、とてもいい声だよ。…でも歌唱力はLiLiの方が上だ」
「…はぁ」
「他にも四葉環くんっていう子がいるけど、彼はダンスがピカイチでね。でも、これまたLiLiの方が上」
「…ユキさん?」
ユキさんは急に私とIDOLiSH7の比べっこを始める。
なんの慰めかと思ったが、彼の目は本気だった。
「LiLiは他のアイドルになんか負けないはずなんだ。もちろん、そこら辺の新人にもね。でも、何故だか世間では負けてることになってるんだよ」
「……ユキさん、もう」
「何故、アイドルなのに目立とうとしない?」
その言葉に目を見開く。
目立とうとしてない? 私が?
「何百、何千のアイドルはトップに上がるために目立とうとしてるんだ。それなのに、何故君は自分を売り込むことをしない?」
「……そんなことは」
ないとは言いきれなかった。
楽が光なら、私は影でいなくてはいけない。
影は目立つものではない、と思っているから。
光がない場所には、影は生きることはできない。
楽が消える時には、私も消える。
でも、私が消える時には、楽は消えない。
「……君と楽くんはグループは違っても一心同体なんだから、それを忘れちゃいけないよ」
「私と、楽が?」
「姉弟が一心同体じゃないなんて、そんな寂しい話はないよ」
ユキさんの言葉に動揺しながらも、きちっと自分を保つ。
「……あのユキさんがこんなこと言うなんて」
「どのユキさんかな」
「バンさんとステージに立ってた頃のユキさん」
「……」
ユキさんはそれ以降黙ってしまって、さっきの言葉の真意を聞くことはできなかった。
「姉弟は一心同体」
この言葉だけが、私の中に残った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ききみ(プロフ) - kiraさん» はじめまして！ありがとうございます！！ (2018年3月6日 19時) (
レス) id: acfb49be03 (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - はじめまして！最終話まで読みました！ もう感動です！！これからも頑張ってください！ (2018年2月17日 23時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ききみ | 作成日時：2018年2月1日 23時
