君と僕の方程式【mfmf】

9話 ページ23

音楽が好きで



歌が好きで…



ギターを弾いてみたいとか



バンドをやってみたいとか



そういう願いだけは常に持っていた僕



たまたま通りかかった楽器屋さんでどうしても欲しいと思うギターを見つけてしまった



ぎりぎり貯金で足りる値段



買おうか迷ったが、その日は行動することなく家に帰った



次の日の屋上でも、僕はもやもやしており、彼女に話を聞いてもらった



と言っても、僕にギターが似合うか？の一言だけの質問だが



彼女は考えることもなく僕にギターを勧めた



だが僕は躊躇していた



人の夢を馬鹿にするのがうまい奴らばかりの中



僕は堂々とギターを弾く自信がなかったのだ



「あーもう。ほら」



彼女にしては珍しく大きな声を上げ、僕のメガネを取り上げ、前髪を掴まれた


「こんなフィルター越しの世界だからだよ、まふくんが思ってるより世界は君を認めてるよ」


冗談めかしていう彼女と目が合う



久しぶりに何にも遮られていない視界だった



それは妙にクリアで



君の風になびく髪とか、青空とか



…初めて見た君の本当の笑顔とか



そういうの全部やけに眩しくて





彼女の手からメガネをとってかけ直す



初めて君の笑顔を見たと伝えたら、いっつも笑っていると怒られた



しばらくメガネを外せそうにない



君のいる世界は、僕には少し眩しすぎた

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