いろんな説を立証しましょう【歌い手】

私と兄とお友達 恋をした日 ページ15

猫に会いたくて扉を開けたあの日、現れた君に一目惚れをした






うらた「初めまして、坂田の友達の浦田渉です。うらたぬきって名前でこいつと同じ活動してます」
「初めまして、坂田Aです。いつも兄がお世話になってます」

最初にしたのは定型文の挨拶
ぺこりとお辞儀をした顔は少し強ばってて
扉を開けた時の表情とは違って
あれはお兄ちゃんと言う身内にだけ見せる顔なんだな。と思った

あの顔可愛かったな、…とも思った

とはいえ、友達の妹に一目惚れというのは中々受け入れ難いものでして
1度感じた気持ちには直ぐに蓋をした

うらた「適当にうらたとか呼んでください。…えーっと、俺はなんて呼べばいいかな？」
「あ、下の名前で普通に」
うらた「Aちゃん？」
「呼び捨てでいいですよ」
坂田「A何緊張しとるんー？可愛ええなぁー」

頭をくしゃくしゃと撫でられて、やめてよと言うものの嬉しそうな顔
ぐしゃぐしゃになった髪の毛をひとなでして、少しだけ微笑む

もしかして、って、この時からちょっと思ってた






「あ、うらたさん！」
うらた「うぃーす」
「さかたーん！うらたさんきたよー！」

直ぐに仲良くなった俺たちは、3人でよく過ごした

過ごせば過ごすほど彼女の笑顔に絆されて

うらた「え？坂田寝た？」
「え？…おーい。…ほんとだ」
うらた「自分で見たいって言い出した映画中に寝んなよ。誰が借りてきてやったと思ってんだ」
「ははは、…もー…全くしょうがないんだから」

過ごせば過ごすほど、もしかしては確信に変わっていった

うらた「じゃ、起きたらよろしく言っといて」
「すみません、全然起きなくて」

外に出ると、彼女も外に出て見送ってくれた
その優しさが嬉しくて、苦しくて
つい口からこぼれてしまった

うらた「…坂田のこと、好きでしょ？」
「！？っあ、いや！そりゃ！はい！兄ですから！！」
うらた「はは、違うでしょ？…恋愛的に、好きでしょ？」
「え！？な、なんでわかったの…！？」

顔を真っ赤にして焦って

うらた「…いや、なんとなく」
「うそ…わかっちゃうかな…」

困ったように下を向いて

うらた「…ううん、きっと他にはバレないよ」

安心したように笑って

あぁ、いいなぁ、坂田

コロコロ変わるその表情が、お前のためだけのものなんて

羨ましい

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