【REBORN！】大空に繋ぐ者Ⅲ (ページ5)

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空の無い世界ページ5

『夜空が海に堕ちた』

　

それは残酷な知らせだった。
　
　
　

程なくしてツナもミルフィオーレに招待され、物言わぬ骸となって帰ってきた。
　
　

欠けた夜空、眠りについた大空。
　
　

ーーー貝(ボンゴレ)は空を失った。
　

残された守護者たちは
これまで以上に頻繁に集まる様になった。

…雲は相変わらず、であるが。

　
もう誰も失わないように

…誰も裏切らせないように

残った仲間を信じるしかなかった。
　
　
　
　

アジト内に設けられた
獄寺専用の執務室をノックする。
　
彼は1日のほとんどをここで過ごし、
ボス代理としての仕事に追われていた。
　

「入るぜー」

「だーかーらァ！
ノックしたら返事があるまで待てっつってんだろうが！！」

山本と目が合うと同時に獄寺は悪態を吐く。

多くの書類に囲まれた彼は
目元に隈を浮かべていた。

左手に握られた万年筆は
ここ数日、インクを走らせ続けている。

「はははっ悪りぃな」

「反省してねえ！」

　
笑う。

声を張る。

大空を失ってから
俺たちは「これまで通り」を取り繕っていた
　

…そうしていないと
心が壊れてしまいそうだった

「ラッビアのことで報告を…ん？」
　

先程までドアの影に隠れていた黒い髪が揺れる。

この執務室を滅多に訪れないはずのランボが
部屋の隅で小さくなっていた。
　

「ランボの奴、何かあったのか？」

「…あー、えっと…それはだな…」

言葉を濁す獄寺の声に
ランボはそっと顔を上げる。

その目元にははっきりと涙の跡が残っており、今もなお、その緑の瞳から雫が溢れていた。
　
嗚咽で歪む喉から
ランボは言葉を絞り出す。

「…子どもの俺が
またバズーカを使ったんです…

そしたら…

…１０年前のゆりさんに…会いました」

本来ならば
過去に未来の情報をもたらすことは禁忌である。

…だが、

彼女の顔を見た途端
気付けばその肩を掴み、懇願していた。

『お願いします…
どうか、どうか、』

ーーお願い、

『この日常を忘れないでください』

行かないで

『俺たちのことを…
嫌いに…ならないで…』

聡明な貴方が
どうしてミルフィオーレなんかに行っちゃったの…？

　
　
　
「…懐かしかったなぁ」

小さな声には羨望が滲んでいた。

「…俺もさっき…こっちの百合と会ったよ」

「…え」

ランボは声を漏らし、獄寺は目を見開く。

「何で…こんな風になっちまったんだろうなあ…」

　

山本は
また笑った。