スルー 土方side ページ6
俺としたことが、風邪なんぞひいてしまうなんざ。その上コイツの思い通りに布団に押し込まれちまうなんざ、一生の不覚だ。この間「風邪ひかれると面倒だ」とか言ってたの誰だったっけ。…ダメだ。自分のことは棚に上げておこう。
そんな負の念を抱きながらも、俺はソイツに反論する。
土「お前なァ、そういう訳にもいかねぇだろ。只でさえ仕事たまってんだぞどこぞのドS皇子のせいで」
「そうですけれども!!今日は絶対にダメです!私がちゃんとやっときますから!!」
それとも、私一人だけでやらせるのが不安なんですか!?と、捲し立てるように言うA。別にそういう訳ではない。第一こんなヘラヘラした能天気野郎でも、仕事をさせれば素早くかたずけてくれるのを共に仕事をしていた俺は知っている。が、その量というのも結構なものなのだ。
土「お前一人であの量をやるってのか?いっつもちょっとの量でひーひー言いやがるくせによォ」
「うっ……あ、あの量は半端ないですけど、土方さんが体調不良の時くらいやりますよ!!私を誰だと思ってるんですか!!赤坂さんだぞ!!」
土「俺はもう平気だから退け」
「スルー!?ていうかダメだって言ってるでしょうが!!」
Aのモノマネを普通に無視しながら俺は再び布団から這い出ようと試みるが、肩を掴まれてぐいーっと布団の中へと押し戻そうとする。
土「しつけーんだよテメーは!!平気だっつってんだろーが!!」
「平気じゃないでしょーが!!まだ熱全然あるんですよ!!そんな時くらい部下のご厚意に甘えたらどうなんですか!?」
土「自分で言っておいて『ご』をつけんじゃねーよ!!」
俺の肩を掴んだソイツの手を掴み返して殆ど取っ組み合いになる。病人がやるような動きではないが、取り敢えずコイツを黙らせないことには始まらない。
土「お前な!!これくらいでへばってらんねぇんだよ!!お前の気持ちは受け取っとくからさっさとそこを退け!!」
「いーやーでーすー!!有り難く素直に受け取っとって大人しく寝ててくださいー!!」
どちらも引かない取っ組み合いの中、先に腕の力を緩めたのは意外にも堅くなだったAの方で。
はあああ……と大きな溜め息をつきながらその場にしゃがみ込むソイツを見て俺はほくそ笑む。いつも毎日のように俺の方が溜め息をつかされてんだ。いい気味だ。
「……あのですねぇ土方さん…」
と、うつ向いて右手で額を押さえるAは若干イラついたような声で言葉を紡ぐ。
「……ホント、こんな時くらい甘えてください…」
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のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ!私無類の土方推しでして!沖田の方の小説も楽しみにしています!これからも更新頑張ってくださいね! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん!ありがとうございます!一気読みなんて嬉しいです!ご指摘もありがとうございました!なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…!!助かりました!引き続きお楽しみ頂けたらと思います! (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します!このお話とても好きになりました!一気読みしてますー!えと、1つよろしいですか!「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー!「dy」土方になってます!以上です、失礼しました! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので! (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ! どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます! どうしましょう!←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月25日 15時