ドジっ子 ページ4
転ぶ直前の浮遊感。このまま盛大に転んで右足の怪我が悪化したら嫌だなぁ、なんてことを頭に浮かべつつ、目を瞑る。
……が、
いつまで経っても訪れない痛み。その代わりに、腰のあたりに回る暖かみがあった。それに違和感を感じてゆっくりと目を開けてみれば、それと同時にグッ、と引き寄せられて、視界は真っ暗になっていた。
……鼻を掠めるのは、タバコのかおり。
土「…ったく何やってんだお前は……」
私がポカンとしていれば呆れたように溜め息をつく声が聞こえた。「いい年して何してんだ」と、その声は今までで一番近い距離から聞こえていて。
「……うわ」
土「いやなんだようわって」
思わずそんな謎の声を漏らしていた。そう。なんということか、私は土方さんの腕の中に居たのだ。まさかの事態に一瞬身体が硬直する。顔を上げてみれば瞳孔ガン開きの目が、私を見下ろしていた。その目は明らかに「バカだろお前」と私に語っていた。
「……すみません、どうやら私は自分が思っていた以上にドジっ子だったらしいです」
土「安心しろ、ドジっ子なんて可愛いもんじゃねーから」
「もう少しないんですかアンタは」
土方さんの思った通りにスッ転んだことに関しては、ノーコメントだ。今のことに関しては私が悪い。だが、もっとこう……「怪我ねぇか」とか「大丈夫か」とかそういう優しさはないのか、こういう時に使うんだよ優しさって奴は。
そんな思いを込めて軽く土方さんを睨みつつ、私は彼から離れた。
……やっぱり、身体の感じが男の人だな、なんてことを思った。……って、私は変態か。
土「足怪我してんだからもっと慎重になれよ。そんなんじゃいつまで経っても治らねぇだろーが」
「へーい」
土「腹立つんだけどその返事」
ムカつくんで適当な返事を返してやって。今度はふざけないで普通に歩くことにした。赤坂Aの経験値が上がった。
……て、いうか。
(……熱かった…)
ふと、土方さんの隣を歩きながらに思う。土方さんと接近した時に感じた体温が、酷く熱かったように思えた。さっきは呆気に取られて気づかなかったけれど、今になってそう思った。服越しでもしっかりと伝わったその温度に、私はなんだか嫌な予感がよぎった。
……まさか、土方さんに限ってそんなことはたいよなぁ、なんてことを思いつつ、
「……土方さん、」
心配になって彼の様子を窺うように顔を覗き込もうとすれば、
……突如、土方さんの身体が傾いたのだ。
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のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ!私無類の土方推しでして!沖田の方の小説も楽しみにしています!これからも更新頑張ってくださいね! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん!ありがとうございます!一気読みなんて嬉しいです!ご指摘もありがとうございました!なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…!!助かりました!引き続きお楽しみ頂けたらと思います! (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します!このお話とても好きになりました!一気読みしてますー!えと、1つよろしいですか!「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー!「dy」土方になってます!以上です、失礼しました! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので! (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ! どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます! どうしましょう!←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月25日 15時