【銀魂】己の行く道 繋がる手と手【土方十四郎】

運命共同体 ページ30

「騒がしい人ですねィ」じゃない。耳を塞いでる場合じゃない。思わず私は立ち上がり沖田くんに詰め寄る。


「どうしちゃったの沖田くん！一体何があったの！？言ってごらんお姉さんが助けてあげる！！」

沖「お心遣いは感謝しやすが、別に助けて貰うことなんざありやせん」

「え！？じゃあなんで今更仕事するとか言うの！？私達変わらないって約束したじゃん！！成長しないって決めたじゃん！！」

沖「そんな約束した覚えありやせんよ」


私の必死の言及にも表情ひとつ変えることなく沖田くんは返す。それはそれは淡々と。何とでもないように、爽やかポーカーフェイスをぶら下げて。予想外の沖田くんの言葉に私は混乱を隠しきれない。

…そりゃあそうだよだって、沖田くんが仕事するって言ったんだよ！？有り得ないよ！！あの沖田くんが！！隕石とか落ちてくるんじゃないの！？


沖「逆にAさん大丈夫ですかィ」

「全然大丈夫じゃない。ヤバイ。沖田くんがヤバイ」

沖「おっと、Aさんからボギャブラリーまでなくなっちまった」


そりゃボギャブラリーも消え去るわ。無理もない。確かに、人間というものは変われるものだよ努力すれば。出来ないことなんてないさ。けれど、けれども！！沖田くんに限って自分から「仕事する」なんて言葉が出てくるなんてことは信じられない現象だ。あまりの事態に私はその場に崩れる。


昨日まで、沖田くんは私と一緒にサボってたのに。土方さんに怒鳴られるのも一緒だったのに。運命共同体だったのに。裏切りもの呼ばわりしてしまうのも当然のことだ。

それはまるで、仲が良かった友達がいつの間にか違う子に取られていた、みたいな。「マラソン一緒に走ろうね」って言って、結局先に行かれちゃう、みたいな。


「沖田くんが行っちゃう〜」

沖「…あの、Aさんが何を思ってるかは知りやせんけど、今日は嫌でもやらなきゃならねー日なんでさァ」

「…え？」


床に手をつきうつむいていた顔を上げてその爽やかイケメンを見上げて見れば、沖田くんはただただ無関心に私を見下ろしていた。


沖「…明日、ちっと用事がありやしてねィ。非番取ったんでさァ。だから、まぁ少しくらい仕事しとくか、みてェな」

「…そうなの？」


首をかしげて言えば、沖田くんは頷き、「そしたらまた、サボりやすよ」と。

レアケース→←無慈悲の塊

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