無慈悲の塊 ページ29
*
「ねぇねぇ沖田くん、有り得る!?美味しいお米を作ってくれる農家の方々に失礼だと思わないのかなあの人!!」
土方さんとの喧嘩を終えた朝食後。私は縁側にてサボりを遂行中の沖田くんにそう愚痴を溢していた。沖田くんは私が悪いとか土方さんが悪いとか関係なしに、私の味方についてくれるから彼の前でいつも土方さんの悪口を叩いている。
沖「あの人自身は、あの行為が悪意あるものじゃねぇですからねィ。あれが一番うめェ食い方だと思ってやってやすから」
「何故あれが悪意じゃなく純粋に出来るのかが不思議でしょうがないよ」
沖「同感でさァ」
ピッカピカの美味しいあきたこまちに無惨にもあんな油の塊をぶちまけるなんて、ふざけてるとしか言いようがない。あれを悪意なしでやってのけるから有り得ない。地球上にあんな食べ物があっていいはずない。
夏の縁側は中々に暑いのだが、涼しい場所でサボろうと思うとすぐに土方さんに見つかって怒られてしまうため、こういう場所でこっそりとサボっている。まぁ、ここも、もうじきあの鬼副長に見つかってしまうだろうが。
「はぁ……全く。なんだろうね、あの無慈悲の塊」
沖「酷でェ言われようだ。土方さん」
と、そう言いながら、沖田くんは寝転がっていたのを立ち上がると「それじゃあ俺は行きやす」と告げて背中を向けてしまう。
「……え。何処行くの?見回りという名のサボり?」
沖「そう………と、言いてぇ所ですが、今日はちっとねィ」
「え、どしたの。何すんの?」
不審に思い、ふてぶてしいその爽やかポーカーフェイスを見上げてやれば、沖田くんは少しだけ苦笑いを浮かべて。
沖「……仕事、でさァ」
「…………」
……人間というのは不思議な生き物で。驚きすぎると叫ぶことすら忘れてしまうらしい。ポカーンと開いた口が塞がらない。「……え、ええ……」という間抜けな声が漏れるばかり。
……今、彼の中で何が起きているというのだろうか。
「……沖田くん、もしかして死ぬの?」
沖「なんの話をしてんですかィ」
え、ちょっと待って。だって沖田くんが自分から仕事するって……え、ええ。有り得ない。病院で「今日死にますね」的なことを宣告されたとしか思えない。それともアレ?世界が崩壊するの?
沖「フツーに仕事するんでさァ」
……ああ、やっぱり今日明日のうちに世界が壊れるのかもしれない。
「この裏切り者オオオオ!!!」
沖「騒がしい人ですねィ」
私の声に、耳を塞いで沖田くんはそう言う。
269人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ!私無類の土方推しでして!沖田の方の小説も楽しみにしています!これからも更新頑張ってくださいね! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん!ありがとうございます!一気読みなんて嬉しいです!ご指摘もありがとうございました!なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…!!助かりました!引き続きお楽しみ頂けたらと思います! (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します!このお話とても好きになりました!一気読みしてますー!えと、1つよろしいですか!「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー!「dy」土方になってます!以上です、失礼しました! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので! (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ! どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます! どうしましょう!←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月25日 15時