乞い願うような ページ22
…数時間前。
土方さんと会話をしている途中、彼は突然倒れた。接近した時に感じた熱さが気になって土方さんの顔を覗き込もうとしていたら、土方さんの身体が傾き、私の肩に土方さんの額が当たる。
「土方さん!?」
あまりの唐突さに私は目を見開き、思わず大きな声で彼の名前を呼んだ。よろけながらも体勢を立て直しその場にしゃがむ。土方さんを支えながら何が起きているのかを理解しようと思考を巡らせる。
土「ハァ……、ハァ…」
呼吸が荒い。顔色も良くない。空いている方の手を土方さんの額に当てると、まるで熱を持った携帯のように熱かった。
「…ど、どうしよ……」
土方さんが熱を出している。それはもう一目瞭然で。ドク、ドク、と心臓が不規則に音をたて、私の身体に血を巡らせていく。暑さや焦りのせいか、頭がくらくらしてくる。
兎に角、土方さんを運んで寝かせなければ。そう思った私は土方さんの腕を私の肩に回して立たせ、私も土方さんの肩に腕を回した。右足が痛むけれど、今はそんなことに構っている場合ではない。
「土方さん、しっかり……しっかりしてくださいよ…!」
私の声は、恐らくは届いていない。それを理解していても私の口は意味もなく彼を呼び続ける。
……あまりに突然のことすぎた。急に土方さんが倒れて、多分私は少しばかり怖かったのかもしれない。
「…土方さん…!」
右足を引きずりながらも、ゆっくりと廊下を歩く。私は無意識のうちに泣きそうになっていた。
…どうしよう、どうしよう、と。私は訳が分からず必死に頭を巡らせた。どうしてここまで焦っているのかも、分からないまま。
山「っわ、土方さん…!?」
そこに、山崎が偶然通り掛かって駆け寄ってくる。
「ひ、土方さんが、熱で倒れたの…!」
……私から出たその声は、幼い時と変わらない、弱々しく、震えたような声だった。
……助けを乞い願うような、か弱い声だった。
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のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ!私無類の土方推しでして!沖田の方の小説も楽しみにしています!これからも更新頑張ってくださいね! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん!ありがとうございます!一気読みなんて嬉しいです!ご指摘もありがとうございました!なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…!!助かりました!引き続きお楽しみ頂けたらと思います! (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します!このお話とても好きになりました!一気読みしてますー!えと、1つよろしいですか!「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー!「dy」土方になってます!以上です、失礼しました! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので! (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ! どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます! どうしましょう!←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月25日 15時