似てる二人 ページ21
「……私が、いけなかったのかもしれないって、思って」
…今日、一日中ずっとそれが気掛かりだった。仕事をしていても、土方さんと言い合いをしていても、その事ばかりが頭を占めていた。それと同時に、募っていく罪悪感。
…その罪悪感が溜まってしまったからかもしれない。こんな話を近藤さんの前でしてしまうなんて。
私の言葉を聞いて、近藤さんはまた心配そうな顔をする。
近「…どうしてそう思うんだ?」
「…」
近藤さんの顔を一瞥し、一息ついてから私は再び口を開いた。
「…私は、土方さんの補佐なのに気づけなかったんです。土方さんの体調が優れないことに」
…この間。土方さんが私の頬に微かに触れたあの日から、私達の間には気まずい雰囲気が漂っていた。けれど、それを言い訳にはできない。それでも、私は、土方さんの一番近くにいたのだから。
「土方さんの一番近くで仕事してたのに、そんなことにも気づけなかったんです」
土方さんが倒れた後、部屋に運んでマジマジと彼を見てみたら、明らかに顔色が良くなかったことに今更になって気づいた。
…こんなに近くにいながら、気づけなかった。もっと私が気づいて上げていたなら、熱に魘されることも、倒れることもなかったかもしれないのに。
近「でもそりゃ、気づかねぇことだってあるさ」
「……でも、私は気づかなきゃならなかったんだと思います」
彼の補佐として。部下として。気づけなかったことが、悔しくて悔しくて堪らなかったのだ。私自身も、その気持ちの真意はよく読めないけれど。
…少しずつ、少しずつ芽生えてきた、彼への信頼がそうさせているのだということは、なんとなく分かっていた。
…だから、土方さんが良くなるまで私は全力を尽くそうと。そう決めたのだ。それが『善』なのか『偽善』なのかも、分からないけれど。
近「…でも、似てるな。二人は」
「…似てる、とは…?」
仕方ないとでも言うような、子供を宥めるような表情を浮かべながら、近藤さんは言う。
近「なんでもかんでも自分のせいに思い込んじまうとこがよォ、トシとそっくりだ」
似てないようで、どっか似てるんだよな、と、近藤さんは明るく笑う。それに吊られて、私も少し笑った。
近「だが、そんなお前らだからこそ、やっていけるんだろうな」
そう言うと近藤さんは、「もう戻っていいぞ」と。私はそれに頷いて、「そうします」と返した。近藤さんに話したからか、襖を開けて廊下に出たその時には、私の心が何処か軽くなっていることに気づいた。
…空はさっきよりも、茜色を濃くしていた。
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のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ!私無類の土方推しでして!沖田の方の小説も楽しみにしています!これからも更新頑張ってくださいね! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん!ありがとうございます!一気読みなんて嬉しいです!ご指摘もありがとうございました!なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…!!助かりました!引き続きお楽しみ頂けたらと思います! (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します!このお話とても好きになりました!一気読みしてますー!えと、1つよろしいですか!「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー!「dy」土方になってます!以上です、失礼しました! (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので! (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ! どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます! どうしましょう!←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月25日 15時