休み方を知らない真面目 ページ20
近「どうだ、トシの様子は」
と、右手に握っている筆を一旦机の上にコトリとおき、心配そうな顔をして私を見つめ、近藤さんは問いかけた。こんな時にストーキングに勤しむ近藤さんでも、やはり土方さんは心配らしい。当然だ。
「えぇ、さっき目を覚まして、熱も下がってました」
明日にはもう動けるんじゃないですか、と。私が答えると近藤さんは「そうか、良かった」と安堵の笑みを浮かべた。まぁ、一応良くなってきたとはいえ、油断は出来ないのだけれど。
「でも、私的にはもう一日くらい休んでほしいくらいなんですけどね…」
近「それをトシが受け入れるか、だな〜」
近藤さんがやれやれと言った風に肩を竦める。そう。それなのだ。熱が下がったとはいえ、もう少しだけ安静にしてほしい。でも、それを土方さん自身が飲むか、それが問題なのである。
あの極度の仕事人間に「念のためもう一日休んでください」と言った所で、「もう平気だ」とキッパリ言い放ち直ぐ様仕事に取りかかってしまうに違いない。有無を言わさずに。
「真面目すぎるんですよ、あの人」
本当に仕事が出来る人って言うのは、休み方も知っているもの。土方さんは、その休み方が上手くないのだ。
「……すぐ無理しようとするんですもん、あの人」
……私だって居るのに、他人に頼ろうとしないんだもの。
近「……ありがとうな、A」
「え、…何がですか？」
私の呟きを聞いてか。近藤さんは柔らかく笑みを浮かべてそう言った。首をかしげて聞き返せば。
近「トシのこと、そんなに心配してくれてだよ」
今日の仕事も一人でやって、看病までしてくれたんだろ？と。まぁ、それはそうなのだが。
「…別に、お礼を言われるような事なんてしてませんよ」
私はただ、真選組として、副長の、あの人の補佐としてそうしているだけ。それに、病人がいたら看病するのは当然の事だろう。
……それが義務感から来ているのか、はたまた、違うものから来ているのか、私には分からないけれど。
それに。
「それに…」
近「……それに？」
私の言葉の続きを促すように、近藤さんは言う。……こんなこと、言うつもりはなかったのだけれど。
「……私が、いけなかったのかもしれないって、思って」
……何故それを言おうと思えてしまったのか、それすら私は分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 269人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のゆり(プロフ) - ピピコさん» いえ！私無類の土方推しでして！沖田の方の小説も楽しみにしています！これからも更新頑張ってくださいね！ (2018年1月4日 10時) (
レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - のゆりさん» のゆりさん！ありがとうございます！一気読みなんて嬉しいです！ご指摘もありがとうございました！なんて恥ずかしい間違いをしていたのでしょうか…！！助かりました！引き続きお楽しみ頂けたらと思います！ (2018年1月4日 10時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 失礼します！このお話とても好きになりました！一気読みしてますー！えと、１つよろしいですか！「お話を選んでね」欄の「by土方」のbがdになってますよー！「dy」土方になってます！以上です、失礼しました！ (2018年1月4日 10時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 獅子の子さん» このシリーズの夢主ちゃんは本当に私好みの性格なのでそう言って頂けて嬉しいです^^私の理想そのものなので！ (2017年7月24日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピ…ピピコさんっ！ どうしましょう、この小説、もちろんトッシーもカッコいいんですけど、夢主ちゃんのさりげない優しさに惚れかけてる自分がいます！ どうしましょう！←2回目 (2017年7月24日 0時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年6月25日 15時
