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「惚れた弱味だ。出来る限り君の話に付き合おう。今日でこの気持ちとも終いにしたい。」
『そんな事云われても…』
「一応之は見合いだからね?君が僕と交際するにあたって知っておきたいこともあるでしょ」
『いやそこ確定しないでくださいよ!てかそもそもなんでお見合いなんです!さっきやってきたばっかだしそれにもっといいムードのとことか』
「さっきも云ったけど対抗したいから。Aのお見合いの記憶がそいつで埋まるなんて僕は耐えられないね!…そういうロマンチックなとこがいいなら連れてくけど?」
『よ、よくもまぁそんな恥ずかしい事を…』
相変わらず回る口でつらつらと述べる乱歩さんはしっかり私の目を捉えて離さない。
そもそも私の家でこうなっているのも私が逃げないようにするため。
きっとそうだ。
『……乱歩さんは、私の事ただの玩具だと思ってると思ってました。』
「ふぅん。玩具、ねぇ。あながち間違っていない。でも僕は君を乱雑に扱ったりしないよ?僕のものだって認識は変わらないけどさ」
『……どうだか』
「生意気なとこも好きだよ。」
『〜っ』
机に強く額をぶつける。
急な乱歩さんの甘い発言に身体がむず痒くなった。いつもならこんな事絶対言わない癖に。
「で?どうせ二回目のお見合いもあると思うけどどうするの?」
『、どうするって?』
「僕と結婚してお見合いを断るか行って婚約されるかになるね、圧倒的前者じゃない?」
『いやいや極端すぎますってどっちも嫌ですよ!』
「ったく君は本当に莫迦だな。わかった。じゃあ二回目のお見合いに僕を連れて行って。そしたら僕がきっぱり断ってやれるだろ?相手も諦め切れる筈だ。その代わりそれまでの間僕と付き合って欲しい」
『そ、それは、…』
確かにこのまま行ったらお見合い相手の小林さんに流されてズルズルしてしまいそうではある。
でもわざわざ乱歩さん経由で断ってもらうのも、有り難いけれど、なんというか。
迷いに迷う私を見兼ねてか、乱歩さんは私の手を取り優しく撫で始める。顔に影がさして、少しだけ眉間に皺を寄せた。
「…正直ね、Aの利益なんて今咄嗟に考えた言い訳だよ。ただ僕が好きで好きでどうしようもないだけ。凄い焦ってる。見合いなんて行って欲しくない、他の男なんて知らなくていいよ。僕だけが知ってるとこを他の奴には見せないでよ。」
ぎゅっと強く手を握って、弱々しく話す乱歩さん。
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時