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腕を引くだけでは飽き足らず、腰をぐいっと引き寄せられて乱歩さんに密着する。
どういう状況。


「そういうつもりではなかったのですが…」
「はぁ?顔に書いてあるけどね、Aの事良いなとか思ってるんだろ。とにかく行くよA」

『え?あ、はい…』


訳も分からずまた腕を引かれた。

早足で歩く乱歩さんに必死に着いていく。相変わらずの唯我独尊っぷりにいつもならため息をついているけど、一応心配してくれているらしいので今日は心の中でお礼を言っておいた。


『乱歩さんってちょっと過保護ですよね』

「…はぁ、君は莫迦か。この僕が過保護なわけないだろ?ましてや君なんかにさ」



君なんかってなんだ。


係の人に会場の大きくて重い扉を開けてもらう。もうすっかり映像は終わっているようで、新郎が何かスピーチをしているようだ。

私達はそそくさと元の席に着く




「私は妻、蘭子さんに出会った時、正に電撃が走ったようでした」


「A、僕は過保護なんじゃなくてね」






「そう、このピストルのように!」


乱歩さんは会話を止めて新郎の方へ目線を移す。
彼が手にしているのは色とりどりの花で飾られた可愛らしい、白い小さなピストルだった。


職業柄銃の類は見慣れているが、あの様な種類の銃は見た事がない。玩具か。花でも出る仕掛けだろうか。


そう思ったのも束の間、こんな風にね、とウインクした新郎が自分の胸に銃口を当てて、引き金を引いた時
乾いた銃声が耳を劈いた。


真っ赤に濡れるタキシードと共にバサりと倒れ、会場がざわつく。演出?違う。花嫁の絶望した様な表情に私と乱歩さんは立ち上がりすぐさま駆け寄った。


「救急車は要らない。警察を呼べ」
『すみませんがこの会場自体の出入口を塞いでください。』



嗚呼もう、ただでさえ訳も分からず結婚式に参加してるのに、人の良さそうなが彼がタヒんでしまうなんて




「これは殺人だ!事故じゃない。」



乱歩さんは声を高らかに上げてその場の全員に言い聞かせた。空気が張り詰めたものに変わる瞬間だった。新婦、蘭子さんに駆け寄る先程のお兄さん。ただでさえ具合いが悪く見えたのに大丈夫だろうか。


「A、僕は少し見ておきたいものがあるんだ。警察が来るまでその辺調べて見て!えーと?楽屋楽屋っと」


先程の真面目な顔とは打って変わって、口角を上げながら大股で歩いていってしまった。

いつもなら眼鏡をかけて終わりなのに。

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- 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時

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