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すなっくお登勢での一悶着の後、万事屋に戻りながら新八は銀時に気になっていたことを訪ねてみた。
「さっきの人達、なんだったんですか?」
「んー脱走したペットとその飼い主みてーなもん」
「何ですか……それ」
銀時の適当な返事に新八は眉を顰める。
二人が万事屋の入り口を開くと、ちょうど今起きたと思われる神楽が眠そうに厠から出てきたところだった。
「んー?どうしたアルか二人して。どっか行ってたアルか?」
「バーさんとこにちょっとな」
「また家賃アルか」
「いや、迷子拾ったから飯食わせて貰ってただけだ」
「あぁ。それで良い匂いがしたアルか」
「せっかく良い匂いがしたから早起きしたのに私のじゃないアルか、損したネ」とぼやく神楽。それに対して新八は「いや、もう九時だからね。全然早起きじゃないから」と小言にも似たツッコミを入れる。
「で、迷子はどうなったアルか」
「師匠が迎えに来て一件落着した」
「親じゃなくて?」
「なんか画塾?に弟子入りしてんだってよ。だからその師匠が迎えに来たっつーわけ」
神楽はそれに「へー」と気の抜けた返しをする。まだ眠いのだろう。
しかし新八にはそれだけでは流せなかった。
「画塾……ってことはあの人もしかして……」
「あーなんかここらで一番有名どころとかつってたな。俺は絵なんて分かんねぇけど」
「もしかして、中島一二三ですか?」
「何、ぱっつぁんも知ってんの?」
「僕もっていうか……銀さん知らなかったんですか!?」
「今日初めて知った」
「よく展覧会の広告が新聞やら雑誌に乗ってるじゃないですか!!街中にポスターもあるし!!」
「そうだっけ。うち新聞取ってねーし」
「あー…じゃあ、ターミナルのロビーやら廊下に何枚か絵が飾ってあるじゃないですか。アレですよ。アレ描いたのが、中島一二三です」
「いや覚えてねーよ。つか何、バーさんもぱっつぁんもみんな絵なんて見んの好きだったっけ」
「いや……というより、中島一二三は変わり者として有名でして……」
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時