【銀魂】能ある鷹は【坂田銀時】 (ページ8)

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中島画塾。

江戸で最も名の知られている画家、中島一二三が営む画塾である。
住み込みで現在20名弱の画家の卵が芸術を学んでいる。

若手の頃から才を見せ、今の江戸の芸術家のほとんどが彼から何らかの影響を受けていたと謳われる一二三に、手習いを受けたいと願う者は後を断たない。

しかし、その画塾には30名以上の塾生がいたことはない。
その理由の一つが、入門試験の厳しさである。

入門試験では絵の腕前はもちろんのこと、人となりも問われる。
多くの入塾希望者は実力ではなく人となりで入塾を拒否される。
ここで言う”人となり”というのは一二三の気に入る人間であるかどうかというものだ。
ではどんな人間がそれに該当するのか、多くの者が知りたがる。しかし、それは誰にもはっきりとは断言できない。

一二三の機嫌が悪ければ、素晴らしい人格の持ち主であろうと不合格となってしまう。
さらにこの試験の過酷なところは、再試験が認められないことだ。生まれ変わりでもしなければ、その試験を二度受けることは許されない。

そんな最難関の試験を通ってきた門下生は、もちろん気を遣わずとも一二三と揉めることはほとんど無い。

――――――だた一人を除いては。

「全く。他人様に迷惑をかけて、何をしているんだお前は!!」

その唯一の人間、Aは一二三の部屋で正座をさせられていた。その膝の上には帰り道に買ってもらったき●この山が開封されており、さらに頬いっぱいに頬張られている。
舐めきった態度で一二三の説教を聞くAは、口の中のものを飲みこんでから「師匠が頑固オヤジだからでしょ!!」と口ごたえを始めた。

「お前が頑固だからだ!!」

「いやあたし全然頑固じゃないし!!」

説教がやがて口論へと変わる。
こうなると先に折れるのはいつも一二三の方だ。

「もういいから、風呂入ってきなさい。何日も入っていないんだろう。臭いから」

「酷くない?女に臭いとか」

「はよ行け!!」

首根っこを掴まれ、部屋の外に放り出されるA。そのまま部屋を出たところの縁側に身体を打ち付けて、中庭へと転げ落ちた。

「いった～」

起き上がる気力もなくて、転がったままそう無気力に呟くと、視界に影がさす。
「なにしてんの」と見下ろす影の原因。

「日光浴」

「普通に風呂に入浴しろ」

「ちょっと。何さ姉弟子に対してその態度は」

ぶっきらぼうにAに入浴を催促するのは、彼女の弟弟子でありほぼ彼女の見張り役のような立場の秋彦だ。