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言うや否や、Aは彰寿の当分のおかず作りを始める。
その手際の良さに銀時は感嘆のため息を漏らした。


「ほー手慣れたもんで」

「まあね。彰寿さん料理の腕アレだから、小さいころはほぼ毎日やってたし、今でも塾で当番の日は結構な量のご飯作るからね」


このくらいなら秋彦達でもできるよとヘラを片手に遊ばせながら言うA。
並じゃない芸術の才能を持ちながら、家事も完璧にこなせる弟子集団。婚活市場に出回ると大変なことになるだろうなと銀時は頬杖をつく。

その様子を空腹で疲れてると勘違いしたのか、「銀さんもう食べ始めてる?」とAが問いかける。


「気にすんなって、お前まだ終わってねーだろ」

「気にしないで〜もうすぐ終わるから。銀さんどれ食べたい?」

「じゃあそのニラのやつ」

「は〜い」


Aは部屋の端に立て掛けてあった折り畳み机を手早く広げる。
銀時が指さしたニラともやしと豚肉の炒め物を皿に盛り付けたものと、棚から出した2人分の箸とコップをその上に置いた。
最後に冷蔵庫から出したペットボトルのお茶を注いで。


「ご飯炊いてないから一品だけだけど。めしあがれ」


そう微笑んだ。
促されるまま銀時は早速一口含む。
素朴な味だが好きな味だった。

言葉通りそのあとすぐにAは調理を終了した。
タッパーに一食分ずつ分けて入れて、数個は冷蔵庫に、もう数個は冷凍庫に入れる。

銀時の向かいに座って、食べ始めるかと思えば頬杖をついた。


「食わねーの」

「どうよお味は」

「まあ嫌いじゃねーよ」

「嘘でも高級料理店のような味がするって言ってよ」

「そんなん流石に嘘すぎて言えねーよ」

「失礼な」


そうぼやいてから箸を取る。
一口含んで「あ、確かにこれは嘘すぎるわ」と自分でもその腕の平凡さを認めていた。


「まぁ手際のよさだけは評価できるな」

「そう?ありがとう。てかなんか上から目線でムカつくな」

「なんでだよ。情緒不安定かよ」


そんな会話をしながら食事をし、後片付けを終えた頃にはもう時刻は夜の9時になりかけていた。


「よし、じゃあ帰ろっか。もうこんな時間だし」


よいしょと立ち上がろうとするAの袖を慌てて銀時は掴んだ。


「どうしたの銀さん。可愛いことするじゃん」

「ちげーよ!!これはラブコメ的な展開じゃねぇ!!お前俺の質問になんでも答えるっつったよな」

「答えられる範囲でとも言ったよ」

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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/  
作成日時:2020年10月10日 22時

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