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Aが出勤していない日を見計らって、銀時はさっそく聞き込み調査をすべく甘味処に来ていた。
しかしながら店内で、思わぬ人物を目にしてしまう。


「お、旦那ァ。こんなところで何してるんですかィ」


店内から軽くこちらに手をあげてそう言う栗毛色の髪をした青年は、若くして真選組一番隊隊長であり、かねてからの知り合いである沖田総悟だ。
隊服を纏い、すぐそばに刀を置いているところを見ると、恐らく業務中のサボりだろう。


探偵業のような依頼の最中なので、「散歩だよ散歩」と回答を濁しておく。


「へぇ、そうなんですかィ」

「沖田君こそなにしてんの。税金で働いていてサボりか?」

「まさか。これは仕事効率をあげるための勤務内休憩でさァ」

「つまりサボりなんじゃねーか」


間も無くして運ばれてきた総悟の団子を、銀時は一本取る。


「ちょ、旦那ァ!何しやがんでィ!」

「口止め料だ」

「俺ァ別にこのことバラされても一向に困りやせんし。バラされること恐れてちゃこんなことやりやせん」

「堂々と公務員が言っちゃいけないこと言うんじゃねーよ」


ほぅ、と口論が人段階ついたところで軽く息を吐き出したのをみると、どうやら団子のことは水に流してくれるらしい。
取り上げた団子を銀時が頬張りはじめると、総悟は「そういえば」と再び会話を切りだした。


「ときに旦那、最近また幕府のお役人を狙った殺人事件が横行してるのをご存知ですかィ?」

「あのニュースでよくやってるやつか。それがどうしたんだよ」

「横行たってまだここ2週間で1、2件ですけど、ここ数ヶ月ぱたりとなくなってた連続殺人事件と犯人が同じって警察どもは踏んでるんでさァ」

「あ〜そんなこともテレビで聞いたな」

「もう犯人も殺人からは足洗って事件は迷宮入りと思ったのに、おかげでまた俺たちは大忙しでさァ」


大忙しならこんなところで団子を食べてんのは問題だろ。
その言葉は銀時の口から放たれることはなかった。

背後から声がかけられる。銀時にとって非常に聞き覚えのある声だった。


「な〜に物騒な話してるんですか?警察官さん」


そこには、店のエプロンを付けて笑顔で総悟に話しかけるAがいた。

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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/  
作成日時:2020年10月10日 22時

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