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「銀さん、なんであんなこと言ったんですか」
散歩からの帰り道、新八は銀時にこんなそう尋ねた。
どういう意味だと言いたげな顔をする銀時に、新八は神楽を一瞥する。彼女が定春の上で酢昆布を呑気にしゃぶっているのを確認してから、声をひそめて銀時に言った。
「神楽ちゃんとAさんの雰囲気があんまり良くないこと、気付いてないんですか?」
「え、そうなの」
「そうですよ……神楽ちゃん曰く、あの人は天人のことが嫌いで、神楽ちゃんもそんなあの人のことをあまり快く思ってません」
「まじか……」
やべーな。と頭をかく銀時に、新八はさらに質問を続ける。
「それに、銀さんて自分から人を食事に誘うような人でしたか?それもその場でのご飯じゃなく、ちゃんと時間や場所を決めてなんて」
「あーそれはまァ……あんじゃん。いろいろ」
「色々てなんすか」
「分かんねェ奴だな〜だからいつまでも童貞なんだよ」
「関係ありましたか!?」
「あるある」と適当にあしらっていると「うるさいアル」と神楽が不機嫌そうに定春の上から顔を出した。
「何を二人で騒いでるアルか」
「なっ、何も!!別に!!」
新八の慌てっぷりに怪訝そうな顔をする神楽だが、わざわざ言及しようとはしなかった。
銀時も特に説明しようとはしなかったため、その話題はそこで打ち切られることとなった。
黙って隣を歩く銀時の横顔を盗み見たとき、新八は知ることになる。
彼の中に生まれかけているとある感情に。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時