【銀魂】能ある鷹は【坂田銀時】 (ページ16)

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依頼人は今回の報酬として万事屋に20万、Aと秋彦には3万ずつ渡してくれた。
それはもう嬉しそうにジュリエットにほおずりしていた。四人は少しげんなりしたような猫の様子を見て苦笑いを浮かべた。

依頼人の豪邸から出て、銀時と新八は神楽の到着を待つついでに二人と話をすることにした。

「不思議な金銭感覚ね」と呟くA。
それに銀時は「金持ちなんてそんなもんだよ。とくにああいう成金は財布の紐がゆるくてしょうがない」と。

「ふーん。時に銀さん。私は銀さんにすごい勢いで駆け寄ってきてるあのバカでかい犬について聞きたいんだけど」

「え?……ってうわァ!!」

間一髪。その白い大きな犬は銀時にぶつかる直前で止まった。
あぶねーなとぼやく銀時よりも、Aはその犬の上からこちら見下ろしている少女の方が興味をそそる。

「定春アルよ!!」

少女はAに元気な声と共に愛らしい笑顔を向けた。
呆けたようにその姿を見ていたAだったが、少し間をおいてため息をついた。

「情報量が増えた……」

「何アルかこいつ。態度悪いアル」

「昨日の朝バーさんが飯食わせてやった迷子だよ」

「あぁ、なるほど。このチビがそうアルか」

「チビとは何だ。大きいだろ君より胸も背も」

「んだと」

少し険悪な雰囲気を見せる二人の間に新八は「ハイハイ喧嘩しないでください」と割り込む。
それに対しAはフフッと笑って見せた。

「まさか。喧嘩じゃないよねぇ……えっと」

「神楽アル」

「ふーん。あたしはA」

ややピリついた空気ではあったもののとりあえずは収束した。

「で、神楽ちゃんは見た感じ地球人じゃないよね?なんだっけあの……戦闘民族の……」

「夜兎族ですね」答えたのは新八だ。

「あーそれだ。珍しいね。初めて見た」

「見世物じゃねーヨ」

まじまじと見るAにするどい目を向ける神楽。
その視線を「ごめんごめん」と軽く流す。

銀時は「すげーな。見ただけで分かんのか」と感心している様子だ。
新八も「戦うところを見ないで気付くのなんてすごいですね」と続く。

「まーね。絵描きは案外目を使うんだ。それこそ筆よりね」

その空間で神楽は依然として刺々しい態度を崩さない。先に空気を読んだのは秋彦だった。

「オイA。肉持ってるっつってんだろ。そろそろ帰るぞ」

「あっそういえば。じゃあね!ヨロズヤ!!」

そう振り返り際に手を軽く振って先に気遣いもなく進む秋彦を追う。
万事屋一同もその場所を後にする。今月は家賃を払えそうだ。