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名前はジュリエット。愛称はジュリちゃん。毛は白く、細身で青い目をしている。首輪はブランド物で、赤いリボンがついたもの。
以上が万事屋の三人が捜索の依頼を受けた猫の大雑把な特徴である。
それは久々の依頼であり、さらにはかなり美味しい話だった。
依頼者は所謂成金のマダム。愛猫がいなくなって取り乱している様子だった。
頭金が10万。見つけられればさらに20万支払うというのだ。こんなにおいしい話はそうない。
しかし人手欲しさに同じ内容で他の多数探偵社にも依頼をしているらしく、20万円は争奪戦となってしまった。
そんなわけで万事屋の三人は血眼になってジュリエットを探している。
ジュリエットが普段使っているというおもちゃを借りてきて、匂いを頼りに定春と共に捜索する神楽と、とにかく依頼者の家周辺を虱潰しに探す銀時と新八に分かれて行動していた。
しかし、なかなか成果は上がらない。
「クソっどこにもいないじゃねーかよ。もー適当にその辺の野良拾って洗って突き出せば気付かねーんじゃねーの」
投げやりになってきた銀時に、新八は苦笑する。
「イヤ気付くでしょさすがに。案外分かるもんですよ。それにまだ一日目じゃないですか。せめて3日くらいやってみましょうよ」
「つってもよォ。こんだけ家の周り目ェ血走らせた奴らがウロウロしてりゃ猫も帰ってこれねーだろ」
「まぁそれはそうだと思いますけど……」
本来、今回の依頼者の家の周りは普段そんなに人通りの多くない場所である。
それなのに今、銀時達と同じ依頼を受けた何人もの探偵達がひたすらウロウロしていた。
銀時達も何度もすれ違っては睨まれた。こういう職種はどこもあまり儲からないのだろう。
「ちょっと場所変えてみっか」
「はい!」
あくびしながら、されどやる気を少し取り戻したらしい銀時に、新八は良い返事を返した。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時