９３話 ページ48
「却説、綺麗なAちゃんを見れて満足したし、私はお風呂に入ってくるよ」
そう云うとすっくと立ち上がって風呂場へ消えていった。
『……はあぁぁ〜……』
詰まっていた息を一気に吐き出す。
凄く緊張した……
未だにトクトクと脈打つ心臓に手を当て、何とか落ち着かせようとする。
今迄散々近くに居たのに……
意識し過ぎていた所為かな……
でも、少しほっとした。
太宰さんは私を拒まなかった。
何時もの優しい笑顔で私の頼みを受け入れてくれた。
少し恥ずかしかったけど、やって良かったのかもしれない。
ナオミちゃんに感謝だ。
「ふぅ〜……サッパリした」
暫くして太宰さんが風呂から上がってきた。
然し、其の太宰さんは何時もとは明らかに違っていた。
『だ……だ、太宰さん……！？』
「ん？如何したんだい？」
否々、惚けないで下さいよ！？
『あ、あの……何時もの包帯は如何したんですか？』
そう、太宰さんは包帯を巻いていなかった。
それで、ズボンだけ履いて出て来るの……目の遣り場に困ります……
顔を真っ赤にしておどおどとする私を見て、揶揄う様に笑う。
「そんなに驚いたかい？」
『は、はい……驚いたと云うか、何と云うか……』
言葉を如何選べば良いものかと、思考を一生懸命に回す。
然し、調子の乗った太宰さんの攻撃は容赦が無かった。
「否ね、Aちゃんに包帯を巻いてもらおうと思って。
ほら、さっき私が君の耳飾りを付けたお返しに」
そんな科白が、私の思考を一掃した。
驚きの余り変な声が出る。
私、こんな声出たんだ……なんて要らぬ感心をし乍も、頭の中は混乱していた。
そんな私を他所に、太宰さんはゴソゴソと包帯を取り出し私に手渡す。
「はい、此れ」
そして返事も待たずに私の前に背中を向けて座る。
中々巻始めようとしない私を急かすこともなく、只静かに待っている。
そ……っと肩付近の腕に包帯を掛ける。
うろ覚えな包帯の巻き方を一つずつ思い出しつつ、ゆっくりと巻いていく。
包帯を前に通して、背中を通って、肩に戻って……
太宰さんの白く綺麗な肌を、更に白い包帯が包み込んでいく。
「……上手なのだね」
『えへへ……そうですか？』
そう少し照れた様に笑った。
けれど、其れは私の暗い過去を蘇らせる。
自分の周りの空気が重くなるのを感じた。
暫くの沈黙……
今なら話せると、何故だか其の時思った。
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咲姫(プロフ) - 紅夏さん» わああああ！楽しんでもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(><)ありがとうございます！！これからも頑張ります！！ (2018年5月5日 9時) (
レス) id: 53214a536b (このIDを非表示/違反報告)
紅夏 - 太宰さんんんんん!面白かったです!これからも更新頑張ってください!応援してます！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: 1b04687fdb (このIDを非表示/違反報告)
咲姫(プロフ) - ジュリさん» ふぁあああありがとうございます！期待に応えられるよう、更新めっっっっっっっっっっっっっっちゃ頑張ります！ (2017年11月25日 11時) (レス) id: 88671b77e8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - ｸﾞﾊﾞｯ･･･ウヒョーーーー！！最高でしたよ!(≧∀≦)/更新めっっっっっっっっっっっっっちゃ楽しみにしてます！双黒かっこいい！ (2017年11月25日 10時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
咲姫(プロフ) - 三毛猫さん» 語彙力……ですか……！？自分では語彙力ないと思っているので、そう言ってもらえるとすっごく嬉しいです！ありがとうございます！ (2017年11月13日 6時) (レス) id: 88671b77e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲姫 | 作成日時：2017年4月10日 22時
