貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ6)

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弔「Aは、なんで先生についてきたの」

その広く、綺麗な空間には似つかない大きめのソファに弔くんは腰を下ろした。

私もその隣に座る。

『両親に毎日暴力振るわれてて、』

そう言って私は服を少し捲り、腹部を見せる。

当たり前だが、弔くんは顔を顰めた。

『しかもね、私の両親、ヒーローなの』

すると一瞬驚いたように見えたが、それも束の間で

その表情は落胆、怒りへと変わった。

弔「ヒーローってのはその肩書きだけで生きていて、結局本当に助けてほしいと藻掻いている奴には手を差し伸べてくれないよな」

俺の時もそうだったと小さく呟いたのが微かに聞こえた。

弔「あぁ、なんでこんな奴ばっかなんだろうなヒーローは。痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い」

そう言いながら弔くんは首を引っ掻きだす。

『だ、だめだよ！傷跡が残っちゃう』

そっと手に触れて引っ掻くのを止めさせる。

暫くしてから、黙って止めてくれた。

また少し静かになった時間が訪れ、弔くんが再度口を開く。

弔「...Aはやり返したり身を守ったりしなかったのか、個性で」

"普通の子"ならそうするのが当たり前だろう。

でも、それはできなかった。

『私、無個性ってことに"なってる"から』

言い方に違和感を感じたようで、弔くんは怪訝な顔をする。

弔「じゃあ個性自体はあるってこと？」

『うん』

『でも、戸籍には無個性って登録されてる』

弔「なんで」

意味がわからないという顔つきで聞いてくる。

『両親共の個性と私の個性が違ってたから』

両親は2人とも"体力強化"という個性を持っていた。

シンプルだが扱いやすく、ヒーロー向きの個性だった。

勿論、その子供である私も遺伝して同じ個性を引き継ぐのだと思っていた。

＿＿だが、神様は残酷だった。

待ちに待った5歳の誕生日、発現したのは両親とは全く関係の無い｢ガス｣という個性だった。

簡単に人を殺すことができる、所謂ヴィラン向きの個性。

両親はそれを許さなかった。許せなかった。

"ヒーローの子供がヴィラン向きの個性を持つなんて考えられない"

"それならまだ｢無個性｣ということにしておいた方がましだ"

両親は何とか医者を言いくるめ、私は無個性として戸籍に登録された。

好奇心旺盛で幼かった私は、隠れて個性を使っていたが、ある日両親に見つかってしまった。

暴力という名の躾が始まったのは、この翌日からだった。