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爆豪「ちょっと待てや」
突然のことにばっちりと目が合ってしまうが、私はすぐに俯いた。
爆豪を纏っている空気に変わりはない。
...恐らく、私の正体もバレていない。
『なんですか』
私はできるだけ声色を変えて話した。
私の存在をヒーロー側は知らないはずだから、何者だ とかそういう事を聞かれるのだろうか。
爆豪「てめェ、ヴィランじゃねェだろ」
『は？』
突拍子もない発言に喉から気の抜けた声が出る。
想像とは裏腹に、爆豪の発した言葉には少し怒りが込められている気がした。
爆豪「好きでヴィランやってるわけじゃねンだろ」
...違う。
違う違う違う！
たしかに、ここには連れてこられた。
＿＿＿でも。
ここに居続けると決めたのは自分の意思。
決して嫌々ヴィランをしているわけじゃない。
爆豪「てめェはただ巻き込まれた一般人で、俺らが保護したってことにしたる」
だから来い と言って爆豪は私の腕を引っ張って歩こうとする。
『や、やめ』
思いの外、彼の力は強くて簡単に引き剥せる様子は微塵も感じられない。
個性を使えば一瞬だが、それだとヒーロー達にバレてしまう。
どうしようかと私は必死に抵抗しながら考えた時。
ﾎﾞｳｯ
途端、辺りは蒼い炎の海と化す。
荼毘「何勝手に連れて帰ろうとしてるんだよ」
『荼毘さん...！』
隙を見て駆けつけてくれたであろう荼毘さんは、私の腕を掴む手に向かって炎を放つ。
爆豪「...チッ」
流石にこれ以上は危険だと判断したのか、爆豪は手を離して距離をとる。
荼毘さんは私を背に隠すように爆豪と向き合った。
『荼毘さん、私、』
荼毘「わざわざ言う必要ねェ。黒霧のとこだろ？」
どうやら、あの話はもう伝わっているらしい。
...交戦したのが一目で分かるくらいの傷に胸が痛くなる。
『生きて、帰ってきてくださいね』
私は優しく荼毘さんに後ろから抱きつく。
荼毘「早く行け」
そう言うと荼毘さんは再び手から炎を放つ。
私はもう一度その姿を目に焼き付けてから、向きを変えて走り出した。
ヒーローとヴィランが入り混じる中、私は黒霧を血なまこになって探す。
ようやく彼を見つけた時には必死になって走った。
『黒霧！』
私の声に反応して、黒霧は個性を発動した。
弔「俺たちもあとで行くから」
ワープする直前に弔くんの声が聞こえた。
『うん、待ってる』
その言葉を最後に、私の目の前は真っ暗になった。
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猫舌民族 - 凄く面白いです！自分は弔くん推しなのですが荼毘推しになりそう…応援してます頑張ってください！ (2023年1月25日 21時) (
レス) @page15 id: fee7097d1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つくし | 作成日時：2023年1月19日 22時
