貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ19)

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そんな会話をしているうちに、攫ってきた子が目を覚ました。

私は咄嗟に後ろの方へ行き、気配を潜める。

気性が荒い子なのか、起きた途端に暴れだしたので体がびくついた。

そんな様子にものともせず弔くんは話し出すが、

？「寝言は寝て死ね」

...この子、本当にヒーロー志望の雄英生なのだろうか。

なんて考え込んでいる時だった。

弔「爆豪勝己」

『！？ばくごう、』

耳覚えのありすぎるその苗字に思わず声を出してしまう。

バッとみんながこちらを向く。

爆豪「お前...？」

気づかれないよう、私はすぐ顔を背けた。

まだ彼に私の正体がバレてはいけない。

小学生の頃も殆どひとりぼっちだった私でも友達と呼べる子が2人(・・)いた。

まさか、そのうちの1人に会ってしまうなんて。

まあいいと私の言葉は流されて再び弔くんが話し始める。

でも、それは最後まで続かなかった。

ｶﾞｼｬｰﾝ!!

突然の衝撃で建物が揺れて壁が破壊される。

いきなり眩い光が差し込み、私は目を細める。

？「もう大丈夫だ！何故って？」

ｵｰﾙﾏｲﾄ「...私が来た！！」

「「「「「！！」」」」」

『ヒーロー...』

想像していた中で1番最悪な事態が起こってしまった。

No.1ヒーロー自ら出向いてくるなんて。

とりあえず私はヒーローと距離を取って物陰に隠れる。

AFO「A、聞こえるかい？」

『！...先生』

脳内に直接先生の声が響く。

これも先生の持つ個性のひとつなのだろうか。

AFO「まだヒーローに君の存在を知られるわけにはいかない。黒霧の個性でここから逃げるんだ」

『分かりました。でも、みんなは』

AFO「全てやられる程、連合もヤワじゃないよ。今は自分のことだけ考えておけばいい」

『...はい』

その言葉を最後に私は静かに動き出した。

このことはきっと向こうにも伝わっているはずだから、黒霧の元まで行けば目的は完了する。

ヒーローと戦うみんなを横目に、私は音を立てずに走る。

...わかっている、はずだった。

私たちは敵(ヴィラン)。

例えとても優しくて良い人でも、ヒーローは容赦なく襲いかかってくる。

どっちも同じ人間で、しかも私を助けてくれたのはヒーローではなくヴィランなのに。

『残酷だなぁ、世界は』

ぽつりとそんな言葉を零してゆっくりと空を見上げる。

空にはどんよりと重い雲がかかっていた。

爆豪「ちょっと待てや」

その声に気づいた時には、私の腕は爆豪に掴まれていた。