4話 ページ6
｢て、てめぇら〜！｣
背の低い男が安井を気絶させた張本人達に怒鳴るが、その2人にギロリと鋭い目つきで睨まれ｢ヒィッ｣と情けない声を上げる
そして、｢覚えてろよ〜！！｣とどこぞの悪人が最後に言う様な言葉を吐き捨てながら、安井を担いで去っていった
｢何が覚えてろよ。人に手を出しておいて｣
Aは腰に手を当てて仁王立ちしながら、ブツブツと文句をいってると後ろから｢なぁ｣と声をかけられ振り返る
｢その、すまなかった・・・さっきのボール｣
申し訳なさそうな表情を浮かべながら、白髪の少年がAに謝った
それに対してAは先程の跳ね返ってきたボールのことを言っていると分かり、慌てて｢いや、そんな謝らないでください｣と両手を振って言う
｢いや、しかし・・・｣
｢本当に大丈夫ですよ。それに貴方が蹴り返してくれたボールのおかげでその子が助かった訳ですし・・・ね？｣
と、Aは微笑みながら少年の後ろにいる少女を見ながら言う
その優しそうな目と微笑みを見て、少年は頬を少し染め顔を背けて｢あ、あぁ｣と返事をした
｢ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん！｣
少年は少女のお礼の言葉に我に返り、少女の顔をみて微笑み、Aも｢怪我しないようにね｣と言い、少女に微笑み頭を撫でると、続いて帰ろうとする
｢待ってくれ！｣
呼び止める声がして、2人とも帰ろうとする足を止めた
Aは振り返り、呼び止めた声の主を見る
そこにはオレンジ色のバンダナの少年、円堂が笑顔と興奮仕切った目で2人を見ていた
｢お前らのキック、スゲーな！サッカーやってるのか？ねえ、どこの学校なんだ？よかったら、一緒に練習しないか！｣
Aは円堂の質問攻めに思わず苦笑いをしてしまった
白髪の少年はその円堂に構わないで1度も振り返らず、そのまま去ってしまった
帰ってしまった少年に一瞬円堂は悲しそうな目をするが、だが今度はAに顔を向けて話をふる
｢お前はどうだ？一緒に練習しないか？｣
｢あ、えっと、私は・・・｣
Aはふと自分が身につけている腕時計に目をやった
｢いっけない！もうこんな時間！？｣
そろそろ帰らない祖母が心配してしまうと思い、Aは身体の向きを戻し、足早で去る
｢あ、おい・・・｣
円堂はそんな二人をポカンしながら見つめていたのであった
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作者名：月雲 | 作成日時：2017年4月3日 15時
