【名前変換オリジナル】カースト頂点の女王と、シンデレラ。

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10人専用のグループルーム――。俗称『suite』に入ると、彼女らは思い思いに荷を下ろし始めた。最高級五つ星ホテルを思わせる部屋にはT10のもの――ゲーム、TVなど全てがある。



「今度の模試、だりぃ…」
「藍沢は模試がなかろうがいつも気だるげじゃねぇかよ」



二人の気だるげな会話を手を叩いて終わらせたのは、頂点に君臨するNo.1、紅月美麗。



「分かったから。“だりぃ“かもしれないけど、模試成績もT10の順位に響くからね。それよか…」



彼女の声色の変化を見て、何が起こるのか全員が勘づく。

『ターゲット 』の査定――。

そう、それが神桜学院のT10が恐れられる理由だ。

スクールカースト上位者の威厳を保つためにやっている、ただのお遊びなど、憶測はいろいろと飛び交っているが――。とにかく恐ろしいまでに虐めつくしてしまう。



「うーん…。特に最近はそこまでの奴はいないよね?」



首をひねって考え込むのは、T10の中の女子三人組のうちの一人、桃生沙綾。可憐な顔だちからは考えつかない笑みを浮かべている。

その後ろ、彼女のほのかな桃色のロングヘアをボーっと見つめているは緑川翠花。黒髪の大和撫子の彼女と、双子の緑川翠雨はほんわかコンビだ。

とたん、その緑川兄妹の翡翠色の瞳が同時に瞬いた。



「どうしたの、お二人さん?」
「女狩りがしたいっ」



翠雨がかなり物騒な言葉を人畜無害なニコニコ顔で発した。
少し引いた女子二人――美麗と沙綾のこと――の代わりに会話に乗ってきたのは…。



「お、いいじゃん!」
「まぁー…最近はやってないからね、"身体"が鈍っちゃう」



お色気担当こと黒川星夜と白崎雪成。女好きの二人が狩る獲物はT10の中でも人気だ。黒川がサラッとした黒髪を耳元でクシャっと持ち上げていった。



「いいよ。白崎も乗るよね?」
「黒川だけにいい目見させるほど俺は優しくないからな…」



銀髪に蒼眼の白崎もうなずく。



「それじゃあ、だれをひっかけるんですかっ?」



ショタの黄宮陽が問う。あまりにも身長の低い陽は、ソファの上にたって話さなければ視界に入らない。そのお返しとしてキラー童顔と可愛いボイスを手にいれたのだが。



「Aクラス」



部屋に冷気が張り詰めたかのようなボソッとした声が響く。

ワァワァしていたT10をもスゥーっと鎮める声。藍沢零は、この中でも孤高の一匹狼だ。

黒川が零の提案に頷き、白崎を見る。その白崎も黒川の瞳を見つめ頷き返し、それが決定打となった。

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