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みんなが帰り支度をはじめて
わたしも忘れないようにと服をかばんに入れる。
「忘れ物ない?」
『うん。たぶん大丈夫。』
まああっても来週も来るし大丈夫か、なんてひとりで言いながら廊下へ出て行くてつやくんに
遅れをとらないよう慌てて追いかける。
『2日間お世話になりました、ありがとう。』
また来週!というみんなの声を背中に受けながら
玄関へと進んでいく。
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しゃがんで靴を履いてパッと顔を上げると
目の前にてつやくんの手があって
『あ、ありがと。』
ぎこちない返事をしながら
手を握って立ち上がる。
優しいし、嬉しいけど。
そんなこと今までしてきたっけ。
そんなんじゃ、わたしの心臓が持たないんですけど・・
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昨日ぶりの助手席に座る。
変に意識しすぎて、左を向けない。
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「寒くない?」
『うん。ありがと。』
なんか分かんないけど
急にてつやくんが優しく感じる。
わたしが意識してるせいかな。
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『さっきの、変な風に聞こえてたら、ごめんね。』
運転しながら、わたしの言葉に笑うてつやくん。
『笑わないでよ、恥ずかしいじゃんか・・』
「ごめんごめん、つい。」
そんなこと言いながらまだ笑ってる。
やっぱりてつやくんが優しくなったのは気のせいだったみたい。
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「いや、そんな気にせんでいいのになーって。」
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ん?
もしかして、
わたしが言い過ぎて逆に変な感じになってるパターン?
あー・・やってしまった。
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『だって、みんなにそんな風に誤解されたらてつやくんも困るし・・』
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「んー?俺は別に誤解されてもいいけど。」
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どういうこと?
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まるで、そういう意味みたいじゃん。
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「Aちゃんは?
俺とそういう関係って思われるの、嫌?」
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ミラー越しのてつやくんと目が合って
体が、動かない。
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信号待ちしていた車が
唇にやわらかい感触を残して、発車する。
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ぴ - こんな素敵なお話が無料で読めるなんて…。。とても面白かったです!今から続編見てきます楽しみです! (2021年1月8日 21時) (レス) id: f511a09636 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!橙さんのピュアピュアなお話はやはり良きですなぁ〜!今後のお二人にも期待ですね!!!素敵なお話をありがとうございました! (2020年12月19日 7時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - はじめまして!小さい小さいおじさんに思わず笑っちゃいました!すれ違う2人の気持ちにギャンギャンしてます!これからも更新楽しみにしてますー!! (2020年10月27日 1時) (レス) id: 2797378088 (このIDを非表示/違反報告)
はち(プロフ) - はじめまして(*^^*)新話がでるたびにニヤニヤしながら見ています(*´ー`*)緑推しですが、橙もいいですねー! (2020年10月19日 5時) (レス) id: 4e98ffd1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ね子 | 作成日時:2020年10月16日 10時