橙と私

#35 ページ35

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(tetsuya side)




Aちゃんがりょうのことを好きじゃないことが分かってから


俺の中の闘志は再び燃えている。




でもここで問題なのが

どうすれば俺にときめいてくれるかってこと。





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試しに、うちのイタリア人の真似をしてみる。




とにかく、何事も紳士に。





事あるごとに優しく声を掛けたり、


手を差し伸べてみたり。





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Aちゃんの反応からすると効果はありそうだけど



んー、なんかしっくり来ない。





こんなの俺じゃねえな。





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運転しながら、

これからのアプローチ法を黙々と考えていれば





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『さっきの、変な風に聞こえてたら、ごめんね。』





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まだ言っとる。


気にしすぎ。





そういうとこもかわいい。





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愛おしさゆえの俺の笑いに




『笑わないでよ、恥ずかしいじゃんか・・』




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照れとる。




こんなの、ますますいじわるしたくなってしまうけど




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「ごめんごめん、つい。」





テキトーに謝りながら笑っている俺を少し睨むAちゃんに罪悪感が生まれてきて。


まあ、ここからは普通に話すとするか。





「いや、そんな気にせんでいいのになーって。」






ごめんね、いじわるして。





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『だって、みんなにそんな風に誤解されたらてつやくんも困るし・・』





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そんな風に？




俺と、Aちゃんがそういう関係、みたいな誤解？




それで、俺が困る？





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「んー？俺は別に誤解されてもいいけど。」




いや、むしろありがとうなんだけど。




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・・・え？俺、言っちゃったやん。




これ、ちょっと告白みたいな感じになってない？





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ええい、もう手遅れだ、！





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「Aちゃんは？」





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「俺とそういう関係って思われるの、嫌？」





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自信がないと言わないようなセリフを


気付けば口走っていて。




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でも今更後戻りできないし、



なにより





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顔が真っ赤なAちゃんとミラー越しに目が合うもんだから


可能性あるかも、とか思ってしまうやん。





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赤信号で止まったあと



俺の横で固まるAちゃんに、キスした。





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あー、とうとうやっちまった。





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