橙と私

#29 ページ29

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『すき・・・』





・・・か。




薄々気付いていたその感情も


改めて口に出すと恥ずかしくなる。




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り「なんでそんな自信なさそうなの？」






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『いや、わたしに対する態度で分かるもん・・』






わたしはてつやくんのこと、恋愛としてすきだけど

てつやくんはわたしのことそんな風な目で見てないよ。







自分で言いながら悲しくなってしまう。





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『このことは絶対言わないでね、！』




口封じをして、この話題はおしまい。





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恥ずかしくてスタスタとリビングへ戻る。





虫「ん？あ、履いたんだ。」





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いつのまにか集まっていたみんなから


え？てつやと泊まったの？と事情聴取が始まる。





当の本人はパソコンをいじりながら


みんなの質問もテキトーにかわしている。





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と「お前まさか？！」




わたしに大丈夫？何もされてない？と聞きにくるとしみつくんと





「んなわけねーだろバカぁ。」





わたしの代わりにこたえるてつやくん。





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ちらっとてつやくんの顔を見れば

目が合って、逸らされる。



今日で既に2回目。






クラブで出会った日はてつやくんから追いかけてきてくれたのになあ。






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としみつくんから手招きされる。




『ん？』




と「ほんっっっとになにもされてない？」





どうやらてつやくんの言葉を信じてないらしい。




『う、うん。


　ていうか、わたし先に寝ちゃったし・・』





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虫「あ、Aちゃんが先に寝たの？





　え？じゃあてつやは自分から隣に行って寝たの？」






「うん、そうだよ？」





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ますますみんなの視線が集まる。






し「え？2人でソファで寝たんだ？」




ゆ「てつやお前やるなあ。」





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みんなの反応はよくわからないけど



もっとわからないのは

わざわざわたしの隣で寝たてつやくんの気持ち。





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なんで？




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わたしみたいな単純で平凡な女は


そういうの、勘違いしちゃうんだよ。





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