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うまく返事ができないまま
沈黙が続く。
それでも、わたしは嫌じゃなかった。
沈黙でも
手から伝わる温度で心が落ち着く。
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ずーっとこのままがいい。
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ひとりでそんなことを思って
ふと我に返って顔が熱くなった。
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気付かないうちに
沼に足を結構突っ込んでいたらしい。
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それでもてつやくんは平気そうな顔して
わたしの返事なんて待ってる雰囲気なんてなくて。
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なんというか、
あー、こういうの、慣れてるんだろうな、って。
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「パジャマ、俺の服でいい?」
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うん、いいよ。
いいけど。
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女の子が来たら貸す用の服でもあるのかな。
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「え?!なんで泣いてんの?」
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なんか悲しくなってきた。
急に、とっても悲しい。
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よく分からないけどごめん、!というように
焦ってて、とにかく困ってるてつやくん。
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あーこんなつもりじゃなかったのに。
これじゃあ典型的なめんどくさい女じゃん。
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さっきより少し早まった足取りで家へ向かう。
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部屋に着いて、わたしをソファに座らせるてつやくん。
ティッシュ箱をわたしの横に置いて
自分は少し距離をとって座る。
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「・・大丈夫?」
黙ってうなずくわたしを見て
俺なんか変なこと言ったかな、と頭を掻く。
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『・・んーん、ちがう、』
もちろん涙の理由は言えるわけなくて
でもてつやくんはずっと気にかけてくれる。
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優しさに傷ついてしまう。
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「お風呂、沸いたよ。」
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泣き疲れていつのまにか寝ていたわたしに
その声は届かなかったみたい。
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ぴ - こんな素敵なお話が無料で読めるなんて…。。とても面白かったです!今から続編見てきます楽しみです! (2021年1月8日 21時) (レス) id: f511a09636 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!橙さんのピュアピュアなお話はやはり良きですなぁ〜!今後のお二人にも期待ですね!!!素敵なお話をありがとうございました! (2020年12月19日 7時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - はじめまして!小さい小さいおじさんに思わず笑っちゃいました!すれ違う2人の気持ちにギャンギャンしてます!これからも更新楽しみにしてますー!! (2020年10月27日 1時) (レス) id: 2797378088 (このIDを非表示/違反報告)
はち(プロフ) - はじめまして(*^^*)新話がでるたびにニヤニヤしながら見ています(*´ー`*)緑推しですが、橙もいいですねー! (2020年10月19日 5時) (レス) id: 4e98ffd1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ね子 | 作成日時:2020年10月16日 10時