◇３０． ページ30
佑月や先輩達が来たその日は特に何事も無く過ぎて行った
そして今、私の目の前には佑月、オスマン先輩、ひとらん先輩がいる
そう今日は佑月が絶対開けておいて、と言って来た土曜日
場所は私の家
最近は私の家に来る人が多い気がする...
全員分の紅茶を出して、私はコーヒー
「言っておくけどA、今日は丸一日貰うから鬱が来ても入れちゃだめだよ？」
「ん？うん、分かったけど...なんで？」
「......いいから」
目を少し逸らされた気がするけど佑月が何か変な事を言う人でもないし
いいか
「...でさぁ、A」
「...？」
行き成り呼び掛けて来て黙るので何を言ったらいいのかよくわからない
そして佑月が言ったと同時にオスマン先輩とひとらん先輩が此方を見た
本当に何なんだろうか
「鬱の事どう思ってる？」
鬱...？
何故に鬱？
良く分からないけど考えてみる
鬱か...
大事な人
幼馴染
一番安心できるかも...
私が考えているとひとらん先輩が言った
「幼馴染だから色々と印象はあるだろうけど、一番最初に思った事を言ってみて」
一番最初....？
「...大事な人...ですかね」
普通に答えると目の前にいる佑月の口角が上がった気がした
「なんで大事な人なの？」
空かさず質問してくる佑月
なんで、か...
考えた事なんてなかった
ただ、直感だった気がする
それか、いなくなって欲しくないからかもしれない
そこら辺、自分でもよく分からない
私が黙ってる理由を理解したのか、佑月が口を開く
「どうせ、直感、とかでしょ」
と、デコピンされる
分かったのは凄いと思うけどデコピンは酷いと思う
「あのねぇ、A」
佑月の低い声
偶に出す声だったので今更驚かないけど、少し怖い
「Aは、逃げてばっかりだよね？」
問い掛けてきている
私はそれに答える事が出来ない
何から逃げてる？
いや、分かってる、分かってる
だけど、再認識なんかしたくない
「なんで中学の頃、自分から鬱と離れたの？」
なんで、知ってるの...？
頭の中で駆け巡る思い
多分、鬱は自然と喋らなくなったと思ってるけど本当は違う
私が、意図的に自然に見える様に離れた
なんで佑月が知ってるのか
その謎だけが頭を駆け巡った
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