ジンライム ページ22
江「え、なになに?千里なんかした?」
「なんもしてないよ。え、してないよね?」
観客席から『綺麗』だの『可愛い』だの『天使か、じゃなきゃ女神か』なんて言ってる人もいる。
演者側が、というか私と拓也だけが戸惑っていると、司会の吉田さんがニコッと………いやニヤっと微笑んで言った。
司会「卯月さん、なにかいいことでも考えてましたか?」
「へ?……今ですか? あぁ私幸せものだなぁって……」
司会「あー、なるほど」
「え?どうしたんですか皆さん」
良「おそらくスクリーンを見ていた観客の皆さんは気づいたことでしょうね〜。お前あれを見てないなんて、そういうとこほんともってないよなぁ」
江「えぇえ?!僕ですか?」
司会「老若男女、いや、もはや世界中を虜にするような素晴らしいものでしたね……」
江「何がどうなったんですか?!千里なにやったんだよ?」
「え、わかんない。私なにかやったの?」
江「本人が分かってないの?!」
ほかの先輩達もやんややんやとからかったり、顔を隠してたり、苦笑いしてたりする。何が何だかよく分からないが、とりあえず盛り上がっているのならよかった……のかな?
幸せを実感出来ていることがなによりも嬉しくて、強いカクテルを飲んでる時みたいに胸の当たりが暖かくなる。
この人といられることに、隣に立てていることに、私は奇跡さえ憶えているよ。
この奇跡を忘れてしまわないよう、夢になって消えてしまわないよう、私はこの銀色のリングに誓う。
ちゃんと伝えて、しっかり答えて、逃げてしまうことなく、逸らしてしまうことなく、貴方を愛して、貴方と共に幸せになることを、誓うよ。
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年5月7日 20時