プースカフェ ページ13
梶「君のことを好きだっていう人は、君にとってそんなに信じられない人なの?」
「………」
梶「君を愛してるって言った人は、君が最後まで愛して欲しいと願ってる人なんじゃないの?」
「………」
梶「………君の大切な人は、君が大切にしている人たちは、君を置いてどこかに行ってしまうほどひどい人なの?」
「…そんなの、わかんないですよ……」
梶「受け入れるのが君にとっての愛なら、今までみたいに受け入れればいい。自分の気持ちを受けいれて欲しいなら、分かってくれるまで向き合ったらいい。
………でもそれがもし逃げなら今すぐ引き換えして。君はもう、愛されることの幸せを知ってるんだから。
恐れて逃げて隠し続けるくらいなら、全部さらけだしてそれでも愛してくれる人を見つけるんだ」
芯のしっかりした、やっぱり優しい声が心臓を打つように響く。
江「ちょっと、なに泣かせてるんですか………」
「………たっ……くや…?」
カランっというベルの音が聞こえて突然店内に入ってきたのは拓也だった。
あまり聞いたことの無い低い声。心做しか、というか完全に怒ってるように見える。眉間にシワよってるし、息は荒いし、めちゃくちゃ怖い顔。
「た、た、拓也?どうしてここに………?」
江「反対の通り歩いてたらたまたま見えて。なんかすごいつらそうな顔してるし、苦しそうに服握りしめてるし」
「よく見えたね……」
江「そんで近づいたら千里泣いてるし、マジ焦った。………とりあえず、こいつ引き取っていいっすか」
梶「どうぞ〜」
「あ、ちょっ、ちょっと…?!」
拓也が財布から千円札を二枚引き出すとテーブルに置いた。私は引きづられるように店を出る。
最後に、梶さんが独り言のように呟いた気がした。
「これ、君に教えてもらったことなんだけどね」……と。
97人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななき。 | 作成日時:2019年5月7日 20時