カカオフィズ《Takuya side》 ページ20
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雑誌の撮影とインタビューを終え、早めの晩御飯を食べに行くと、入ったお店にたまたま杉田智和さんがいた。
杉田さんと千里と俺でしばらく飲んでいたが、明日が早いからと千里は抜けていき、それから杉田さんとサシで飲んでいる。
……もうかれこれ5時間くらい。杉田さんは少し酔ってきたようだ。
江「大丈夫っすか杉田さん、水いります?」
杉「大丈夫。卯月さんの手前下手に酔わないようにしてたのに、お前のペースに合わせるとすぐ酔う」
江「あはは、僕なかなか酔わないっすからね〜」
腐っても紳士と言ったところか。
(……いやいや、杉田さん女性に対してはめちゃくちゃ紳士だった忘れてた)
いつも下ネタで盛り上がってしまうから何かと置いていきがちだった。
すると、杉田さんが焼き魚のおそらく塩焼きをつつきながら聞いてきた。
杉「お嬢って、江口くんの前じゃだいぶ態度変わるよね。なんか、いい意味で気を抜いてるって言うか、許してるって言うか」
江「そう…ですかね? まあいつも大概猫かぶってますから」
杉「あれは猫かぶってるの? 素の表情見せてるだけでしょ」
江「そうなんですかねぇー……」
よく分からない。あいつとはいつもあんな感じだ。
何せ専門学校からの付き合いなのだ。
食の好みも、服のセンスも、芝居のくせも、笑う時の仕草も………多分、自分すらも分かっていないお互いのことを知っている。
軽口叩いて冗談言って、たまに熱く語り合ったりなんかして。気のおける友人……なのだろうと思っている。
おそらく、彼女は。
すると杉田さんがふっと笑って、魚の頭をつまんでこちらに向けた。それから魚にアテレコするように言う。
杉「江口くんもね」
江「俺もっすか?」
杉「うん、いい意味でね」
江「はあ……」
杉「いいんじゃない。仕事現場にそういう人がいても」
江「え?」
杉「ほら、江口くんって周りに合わせがちだからさ。それが君のいい所ってのは分かってるけど、たまに疲れないのかなって思う時あるし」
江「………そう見えるんですか?」
杉「そうだね〜。まあ難しいとは思うけど、たまには背中預けて寄りかかってみたらどうよ?」
江「…もうとっくに………。いやなんでもないです。飲みましょ」
杉「おう………おっとっとっと」
江「まあまあまあまあ」
もうとっくに、あいつはずっと先を進んでいる。
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りさ - ななき。さん» こちらこそ! (2019年2月5日 21時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - りささん» ありがとうございます!ではまた、これからもよろしくです! (2019年2月5日 21時) (レス) id: 6cf8ba9d16 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - ななき。さん» ぜひやりましょー!またお誘いします! (2019年2月5日 21時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - こちらにもコメントありがとうございます!とても励みになります!ぜひぜひ、やったことはないですが、時間が出来たらやってみたいと思ってます。またお誘いしてくださると嬉しいです! (2019年2月5日 20時) (レス) id: 6cf8ba9d16 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - お話読ませていただきましたー!続き楽しみに待ってます!機会があればリレー小説一緒にやりたいです! (2019年2月5日 20時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年2月4日 19時