ろくじゅうよん《sima side》 ページ16
あーあ、黙っちゃった。
志「大好きな友達には、その人にとっても自分が一番になりたい……って見えたけど？」
「………志麻さんも、そんな感じしますよ」
『も』と答えたAちゃんは、ニコッと微笑んだ。
志「おれは、………おれはおれのファンが大事やった。何よりも、誰よりも。『最高に楽しませるからおれだけを見て』ってずっと思ってきた」
「独占欲強いんですね」
志「そうよ。愛した分だけ愛されないと気が済まないタイプ」
「ちょっと重いですね」
志「でも、そう見せんようにしてるやろ？」
「してますね。うらたさんたちにはバレてるとこありますけど」
志「そう、バレるようになってきたんよね。それで『あ、自分メンバーに気を許してるんだな』って気づいた。所詮ファンの奪い合いみたいに思ってたのが、こいつらとならどこまでも行ける、どこまでも行きたいって思えるようになった」
「それも絆ですか？」
志「そう」
「………メンバーってちょっと面白い関係ですよね。友達であり、ライバルであり、相棒であり相方でもある。………かなわないよ」
さらに瞳を潤ませて笑った。
志「そんなにまふくんが大事？ Aちゃんなら友達たくさん居てるやろ？」
「志麻さん、初恋とか初カノって覚えてます？」
志「え、なに急に、………覚えてるけど」
「それと一緒ですよ。まふは私にとって初めての友達だったんです。16歳にして始めて仲良くなった同級生。仲良くなりたいと思えた子」
Aちゃんはそれから小さな小さな声で「………ほんとは、怖かった」と呟く。
志「なにが？」
「独り占めしたいって思うことが。手離したくないって考えてしまうことが。それじゃあ"あの人"と同じだ。私は、あんなふうになりたくない………。まふは、まふには笑っていてほしいから」
志「だから、自分から離れていくの？」
「………」
志「それもわかるけどねぇ〜」
「……………ほんとですか」
志「深くはまりたくないから定期的に外に出て目移りする。換えを探して、そこそこで妥協して……。同じものはどこまで行ってもなくて、その場では楽しくてもあとは虚しさだけが残るんだよね。
それを埋めるために他を求めて、代わりが見つからなくて結局戻ってくる。そして安心する。『あぁ、変わらないでいてくれてる』………って」
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年2月21日 4時) (
レス) @page41 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - コメントありがとうございます！言い回しに惚れられたなんて初めてで驚きです笑タイトル通り淡い色の作品にしたくて作ったので伝わってるみたいで嬉しいです！友達から始まる恋もいいですよね(^^)またどこかでお会い出来ることを願ってます！ (2020年6月26日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - ななき。さん» 作者さんの言い回しに惚れました…。多種多様な色の中の一つを描いたような物語で思わず一気読みしてしまいました…。不器用な2人が周りの人達によって変わっていく姿を見て、友達って大切なんだなぁって思いました。これからも頑張ってください！ (2020年6月26日 19時) (レス) id: b0d67d134f (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - LiLi Kaさん» コメントありがとうございます！感動していただけたなんてうれしい！はよくっつけ！ってなりながら書いてました笑 (2020年5月20日 19時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
LiLi Ka(プロフ) - すっごくよかったです！感動ものですね！泣きましたぁぁぁぁ (2020年5月20日 8時) (レス) id: ef0b88e85e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年4月9日 10時
