伍拾─チャパティ ページ2
▪▪▪
恒例になったリクリとのワンソングリサイタルが終わり帰ろうとすると、小児病棟の入口でやたら背の高い男が壁に背を付けて立っていた。不審者と言うにはあまりにも美しすぎる。
ま「やっと、見つけた」
「………どうして君がここに」
ま「これ」
向けられたスマホの画面を見ると某動画サイトで、画面には自分が演奏しリクリが歌ってる姿が映し出されていた。
ま「ネットで今バズってる動画、【ギター弾きのお姉さんと、小さな歌うたい】」
「うそでしょ、いつの間に……」
ま「軽率に写りすぎ」
「誰がこんなこと……こっわ」
ま「大方感動した親御さんってとこだと思うよ。たまたまついったーで流れてきて、特定厨が特定。さすがに小児病棟だからセキュリティは厳しいけど、『陸名 Aの知り合いです』って言ったら通してくれた」
「甘すぎだろ。………で、えっと、なんの用？」
ま「どうしてお店のこと、ヤコウさんのこと話してくれなかったの」
「マジでプライバシーどうなって……。話してどうにかなるのかよ。話してヤコウは元気になるわけ？君がヤコウ良くしてくれんの？」
ま「それは……」
続けられる前に言葉を重ねる。
「君が医者なら頼ったかもしんない。老人の病気に詳しい専門家や、薬に詳しい科学者なら言ってどうにかしてほしいって頼んだかもしれない。でもそうじゃないから、どうにもならないから、どうにもならないんなら無駄なこと考えてほしくなかった。君は、……人のことをたくさん考えて悩んで悩みすぎて苦しむ人だから」
ま「A……」
「みたいな、らしくないことで悩んでるうちに言いそびれた。ごめん」
ま「僕の方こそごめん、急に押しかけて勝手に怒って……」
「ほら、すぐ落ち込むじゃん。もういいよ、お互い様ってことで」
先行して歩くと彼は隣に小走りで並ぶ。奇しくもシミラールックになってしまっている。自分が白襟の黒いワンピースとタイなのに対して、まふゆさんは白いシャツに黒いボタンに黒いチェックのスラックス。そして黒いキャップに白髪。相変わらずスタイルがいい。
長い沈黙。何か言った方がいあのかと口を開いては閉じての繰り返し。いい加減自分が鬱陶しい。
「お腹すいたな」
ま「え、急に？」
「なんか食べます？あ、カレーありますよ」
ま「えっ、あ、じゃあそれで」
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ななき。(プロフ) - ゆうさん» 私の作品で笑って泣いていただけているのかと思うと私もぐっときます！コメント感想ありがとうございます！ (2021年12月28日 22時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - めっちゃ面白いです。本当に泣きました。完結おめでとうございます。 (2021年12月27日 21時) (レス) @page21 id: ff8e58fd81 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ロツイナさん» 最後までご覧くださりありがとうございます！大好きだって言ってもらえて終わりを惜しんでもらえるなんてとても嬉しいです！他の作品も良かったら楽しんでってくださいませ！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ロツイナ - 完結おめでとうございます！ずっと大好きな作品です、終わってしまうのはちょっと切ないですが、最後までこの作品を読んでいて楽しかったです！ありがとうございました! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 05ff15d5eb (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - かんずめさん» かんずめさん、コメントありがとうございます！いつもほんとに励みになっています！満足していただけて光栄です。これからもそう思って貰えるようにがんばりますね！次回作も良ければみてやってくださいませ！ (2021年9月16日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年8月21日 22時
