参拾参《urata side》 ページ34
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《urata side》
夕暮れ時の町、半分以上を夜がしめている。友達とはしゃぎながら歩く女子高生や買い物帰りの主婦。そしてサラリーマンやOLさん達が家路に急いでいた。
俺は現場を出て電車に乗り最寄り駅に着くと、小さな銅像の前で待ち合わせ相手を探す。しゃがみこむパーカー姿の男と、銅像によりかかるハイネック姿の男。片手を上げて近づく。
う「おつおつ〜」
坂「おつかれさん〜」
志「おつかれさん、仕事帰り？」
う「そー、Aがよろしくってさ」
坂「えっ、一緒やったんや！」
志「そう言えばここしばらく会ってないな」
坂「家に集まった以来やなぁ？」
う「いや大晦日前にまふん家で鍋したし、月に一回は家来てだべってるから割と会ってる」
志「なんかたまには外で遊びたいよなぁ」
坂「お、どっか行く？」
志「どこ行っても楽しそうやねw」
坂「ノリ良いし媚びないし踏み込んでこないし、理想の女友達って感じよなぁ」
確かに彼女は誰に対しても同じように接することが出来る人間だ。『声優としての浦田 わたる』と『歌い手としてのうらたぬき』を知っているのに、どちらでも変わらずに接してくれる。そして分からないくらい自然な言葉選びで気を使える。
坂「ほんまよかったなぁ。うらくんに女友達ができて」
う「俺にだって女友達くらいいるわ」
坂「えぇ？！まじで？！女子ムリって感じやのに〜」
志「でも男女間の友情信じてるんやろ？昔ラジオで言ってた」
う「そうだっけ？全然覚えてねーわ」
男女間の友情……俺たちは友達だ。それは変わらない。悪くなることはあっても進むことはない。そんな関係を彼女は望んでいるのだろう。それならそれで別に構わない。そう言い聞かせているのは、誤魔化していることになるんだろうか。
自分の気持ちに嘘をつかない。やりたいことだけやってストレスを溜め込まない。合わせてばかりの彼女とは、ある意味全く違うタイプだと自分でも思う。そんな俺たちが、仲良くなったのは………。
俺が式井 Aと出会ったのはなんてことはない、ただの仕事現場だった。俺はまだ浦島坂田船を結成してなくて、声優としてもド新人の頃だった。
先輩と後輩の間を上手く立ち回り、ボケにもツッコミにもなれるコミュニケーション能力の高い女性。美人な上に誰に対しても屈託のない笑顔を見せ、その場を明るく和ませていた。俺には真似できない。
だからこそ、彼女の第一印象は『苦手なタイプ』だった。
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ななき。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» コメントありがとうございます！こちらこそです照 今回のお話もなかなかに回りくどいのでたんまり悶えちゃってください笑 よろしくお願いします！！ (2021年2月21日 19時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 新作おめでとうございます！！素敵な作品をいつもありがとうございます！ななき。さんの描くストーリーがもう、悶えるくらい好きです！！更新頑張ってください！ (2021年2月19日 22時) (レス) id: 95d0968963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年2月19日 22時
