三月のクローバーコレクト 3【声優】【学園モノ】

矛盾した思考のまま《Ryouhei side》 ページ49

なんで3人で水族館なんか来てるんだろう。
おじゃま虫は一体誰だろう。

そんなの決まってる。俺だよ。




『ダメな先輩でゴメンな？ダメな兄ちゃんでゴメンな……。やっぱ諦めらんないわ、お前のこと……』




あの時言った言葉は、彼女の耳には届いただろうか。
きっと届いていないよな。届いていてほしい気もする。

矛盾した思考が気持ち悪くて、楽しくない。




梶「──くん、りょ───くん、りょーへーくーん！」

良「わぁっ！……ってなんだよ、裕貴か……」

梶「やっほー、ここ開けて？」




ベランダの鍵を開けると、寒そうな格好で裕貴が部屋に入ってきた。




良「なんでわざわざベランダ？普通に玄関から入ってこいよ」

梶「部屋からちょうど良平くんの姿が見えてさ、すこし話せないかなって」

良「話し？お前と話すことなんてそんなにないけど」

梶「まあまあそう言わずに。あ、その毛布借りていい？寒くて死にそう…」

良「なんで裸足なんだよ、冬だぞあほか」

梶「滑らないようにってさー。前みたいにハシゴかける訳にはいかないから飛んできた」

良「お前、……ヒーローかよw」




布団の上で膝を抱える裕貴。俺は椅子に座って胡座をかく。




良「で？なんのよう？」

梶「良平くんって今彼女いるの？」

良「………お前、何が悲しくて男と恋バナしなきゃいけねぇんだよ」

梶「いいじゃんいいじゃん！いないの？気になる子とか」

良「………いるよ」

梶「いるの？！だれだれ？カワイイ系？それとも美人系？」

良「……かわいい。けど美人寄り」

梶「へぇぇ〜！昔っから美人さんには弱いもんね〜」

良「もうなんなんだよ。そんな用なら帰れって」

梶「告白されたよ」

良「………へぇ、誰に？」

梶「聞かなくてもわかってるでしょ」

良「お前もたいがい性格悪いよな」

梶「まさか、良平くんほどではないと思うけど？」

良「うざ……」

梶「ひどいなぁ〜」




ニコニコ笑う裕貴は、やけに楽しそうだ。




良「お前さ、なんで断るの？大切な妹なら傷つけるとか思わないわけ？」

梶「妹だからだよ」




さっきの笑顔はなく、真剣な表情をした。
真っ直ぐな目、こいつのこういうとこ、心底嫌いだ。

※作者より→←雨の日の旧校舎《Ryouhei side》

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