雨の日の旧校舎《Ryouhei side》 ページ48
「え、すみません、どちら様ですか?」
(は?………あぁ、暗くて見えてないのか)
良「こんにちは、2年の風紀委員、木村 良平でーす」
「……きむら、りょうへい………」
良「
「…………な、んで、ここに…」
良「だから見回りだって」
「……いや、そうじゃなくて、…どうしてこの学校に……」
なるほど、もう9ヶ月この学校に通っているのに俺を認識していなかったらしい。
良「むしろこっちのセリフよ?どうして君はここに?」
「え…っと、うちの学校からここに来る人ほとんどいないって聞いて、それで」
良「へぇ〜、そうなんだ。高校生デビューしてみようかーって?」
「いや、そういうんじゃない……けど」
良「こらこら、俺は先輩よ?ここでは『良平先輩』って呼ぶようにね」
「………ほんとに、良ちゃん…?」
良「だから『良平先輩』だってば」
「………」
戸惑ってる表情。そりゃそうだろう、お前にみせたことない顔をしていたんだから。
良「ここへはサボりに?」
「偏頭痛が酷くて……。保健室にはそういう理由でいくのはまずいかと……」
たしかに昔っから雨の日はつらそうだった。
良「なるほどね〜。じゃあしょうがないかぁー」
「………いいんですか?」
良「でもここに来るのは雨の日の、頭痛がひどいだけにしてね?」
「………良、……平先輩もサボりじゃない、んですか?」
良「俺は見回りだって。ほら、校内パトロールの腕章つけてるでしょ?」
「………校内、パトロール」
良「だから見過ごすわけにもいかないんだけど、とりあえずそういう理由なら許してあげるよ。雨の日だけね」
「…………どうも」
昔よりだいぶ低いトーン。まるで今日の空模様みたいに暗い表情。この子を笑顔にするためには。この子が笑っていられる方法は。
良「ねぇ、弾いてよ」
「え?」
良「ピアノ。そうだなぁ〜、テイラースウィフトの【Safe and Sound】」
「…………」
Aは何も言わずピアノの前に座ると、一音を3回叩き、それから弾き始めた。小さい頃からやるくせだ。
あの頃より背が伸びて、もうペダルに足が届かないなんてことは無い。指の長さが足りないなんてことも。
雨の日だけ。雨の日だけだよ。
それ以上は会えないから。会いたくないから。
そう思考する脳とは裏腹に、上がりっぱなしだった口角は震えていた。
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ななき。(プロフ) - ゆゆさん» すみませんみおとしてましたぁ!!コメントありがとうございます!亀更新になるとは思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです!よろしくお願いします! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 昨日知り、全部読まさせて頂きました!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月25日 14時) (レス) id: 2487ef8f40 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 春さん» ありがとうございます!長くなるとは思いますがよろしくお願いします!がんばりますね! (2019年12月30日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2019年12月27日 15時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年12月27日 9時