本当にそうか?《Ryouhei side》 ページ46
あいつは泣くわけでも、怒り出すわけでもなく、下手な作り笑いを浮かべた。泣き虫なあいつが、生意気なあいつが、『ごめん』って笑ったんだ。
それが俺には堪えた。あいつをこんな表情にさせた裕貴が許せねぇと思った。
───けど本当にそうか?
Aをあんな目に遭わせたのは俺じゃなかったか?
告白しろよってけしかけたのは俺じゃなかったか?
無駄に自信をつけさせて行ってこいよって言ったのは俺じゃなかったか?
俺は背中を押したつもりだった。
だけどあいつにとってそれは、船の上から突き落としたことになってるかもしれない。
希望を、幸せの光を見せといて、真っ暗闇に放り投げただけなのかもしれない。
無理して笑うあいつを見る度にそう思えて仕方がなかった。
あんなに頑張ってたピアノの音が聞こえなくなっていくにつれてその気持ちは大きくのしかかってきた。
『そんなはずない。俺はいいことをしたんだ。だいたい向こうが悪かったんだって』
そう何度言い聞かせてもどうしても拭いきれなくて、高校はあいつらに会わないために家を出た。
性格を変えて、いつも口角を上げて、たまに突き放して、来る者拒まず去るもの追わずの精神で。軽い調子で、いつも本気に見られないように言葉を選んで……。
それで、責任をおわないように。大事なことは任されないように。上辺だけの関係。体だけの付き合い。
そうやって"楽" で "楽しい" まんまでいよう。
我ながら上手くやってた。
調子を合わせリズムを間違えなければ男子にハブられることは無かったし、ちょっと褒めてちょっとからかえば女の子は気をよくした。好都合なことにノリの合うやつらもいた。
子供らしく先生に反抗して。
大人っぽく見られるように気取らずに。
暑苦しいのは嫌い。あくまでソフトな関係で。
そうやっていたのに……Aがなぜかうちの学校に入学した。
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ななき。(プロフ) - ゆゆさん» すみませんみおとしてましたぁ!!コメントありがとうございます!亀更新になるとは思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです!よろしくお願いします! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 昨日知り、全部読まさせて頂きました!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月25日 14時) (レス) id: 2487ef8f40 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 春さん» ありがとうございます!長くなるとは思いますがよろしくお願いします!がんばりますね! (2019年12月30日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2019年12月27日 15時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年12月27日 9時