海の月 ページ37
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「きれぇ……」
良「そうだな」
「クラゲって、海の月って書くらしいよ?確かに月みたいに綺麗だね」
良「こんなにいくつも月はいらねぇけどな」
「夢がないなぁ良ちゃんは。いいものはいくらあってもいいんだよ。……あれ、裕貴くんは?」
良「さっき飲み物買いに行ったよ。お前は魚に夢中で聞こえてなかったみたいだけど」
「しょうがないじゃん。水族館なんて久しぶりだし、なんかワクワクするよね」
良「俺は全然楽しくないけどな」
「………ごめんって。これで多分最後だよ。ふたりが大学生になればどんどん疎遠になっていくだろうし、私も素敵な彼氏を見つけて、ふたりのことはいい思い出に……」
ガラスに指先をつけ歩く。
小魚が郡をなし、きらびやかに泳ぐチョウチョウウオやオコゼ。ウミガメがスイスイと海藻をかき分け、大きなマンタがちょうど真上を通り過ぎる時、良ちゃんのつぶやく声が聞こえた。
良「……っ、俺は、疎遠にも思い出にもなりたくねぇよ」
ドンッ、と強く押されて後ろにいたはずの良ちゃんが見えなくなる。
「ちょっ、良ちゃん!良ちゃん!」
良「ダメな──でゴメンな?ダメな────でゴメンな……。やっぱ──らんないわ、──のこと……」
人の群れに流される隙間、良ちゃんの声が途切れ途切れに聞こえる。
(良ちゃん……、良ちゃんどこ…?)
その瞬間、グイッと引っ張られ人の少ない方へ連れていかれる。
梶「……っと、大丈夫?Aちゃん」
そこにいたのは、裕貴くんだった。
梶「姿が見えたと思ったら流れてくるんだもん。びっくりしちゃったw」
「う、うん」
梶「良平くんは?」
「はぐれた」
梶「そっかー」
「<15:00から始まるイルカショーまで、あと10分です。メインステージまで起こし下さい。繰り返します。15:00から始まる───>」
梶「イルカショーだって。行ってみようか?」
「あ、うん。そうだね。せっかくだしね」
梶「何イルカだろうね。楽しみだなぁ」
良ちゃんどこに行っちゃったんだろう。
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ななき。(プロフ) - ゆゆさん» すみませんみおとしてましたぁ!!コメントありがとうございます!亀更新になるとは思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです!よろしくお願いします! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 昨日知り、全部読まさせて頂きました!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月25日 14時) (レス) id: 2487ef8f40 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 春さん» ありがとうございます!長くなるとは思いますがよろしくお願いします!がんばりますね! (2019年12月30日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2019年12月27日 15時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年12月27日 9時