売られた喧嘩はもちろん ページ5
隣にいたウエイターのおぼんからコップをひとつとると、つかつかとそちらへ向かう。………可哀想に、委員長涙目じゃん。
「お客様、どうなさいました?」
男性「あんたがここの責任者ぁ?この子が運んだ食べ物の中にビニールが入ってたんだけど?これもし食べてたらまずいよね?」
「この透明なビニールが、ですか?」
男性「そうだよ。それから注文、マナーもなってない」
「……それは申し訳ございません。こちらの指導不足です。具体的にどのような点でしょうか」
男性「俺は3回も呼んだんだよ?なのにいっこうに注文とりに来なかった。声は小さい、ボソボソ喋る、挙句の果てには俺を見て『ひぃ!』だよ?問題だよね?」
「注文に伺うのが遅れたようで申し訳ございません。………ただでさえ初めてのことで緊張している所で、そういった声を出され恐縮してしまったのでしょう。それから?」
男性「……最悪なのは俺の服にナポリタンのソースが飛び散ってること。子供には買えないようなブランド物なんだよね。クリーニング代も貰おうかな?」
「重ねてお詫び申し訳あります。シミ、お取りしますね?」
ニコッと笑ってから、手に持っていたコップをお客様の頭の上で逆さまにした。
男性「……はぁ?!おい!何すんだよ?!」
「いえ、ですからシミを」
男性「……ねえ、君なにしたか分かってる?取り返しがつかないこと分かってるかなぁぁ?」
「ナポリタンのソースは早いうちに対処しないと落ちませんので。ブランド物の大切なシャツなら尚更でしょう?
それからウエイターの接客についてですが、申し訳ございません。たしかに場にあったものがございますよね。お客様にあった接客をするべきでした」
滑るように言葉をサラサラと並べる。
男性「俺にあった、だと……?」
「だってお客様、お耳を不自由にされているのでしょう?」
男性「はぁ?」
「違いましたか?これだけ静かになった場所なのに、そのような大きなお声でお話になってらっしゃるからてっきり。3つ向こうの教室からでも聞こえておりましたよ」
男性「………」
「場所にあった行動、マナー、声、接客のみならず社会の常識でしたよね。申し訳ございませんでした」
男性「……なぁ、あんた、もしかして俺に喧嘩売ってる?」
「いいえ、買っているのでございます」
男はピキっと顔を歪ませた。
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ななき。(プロフ) - 春さん» 春さん!いつもご覧くださりありがとうございます!こちらこそこれからもよろしくお願いします(^^) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!めっちゃいいです!!これからも楽しみにしてます!(^-^) (2019年11月28日 17時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年11月27日 16時