三月のクローバーコレクト 2【声優】【学園モノ】

おみや ページ28

みゆくんとお菓子を選んでいると、少し離れたところにいた拓也にチョイチョイっと手招きされる。




「どした？」

江「なぁ、これとこれ何が違うの…？」

「マフラーかネックウォーマーかじゃない？」

江「えぇー、柄一緒なのにふたつ作るの意味わからないな」

「妹さんに？」

江「そう。人形は買えたんだけど、服がよくわかんない。……もうどれでもいいか」

「こらこら、めんどくさくなるなよ。……んー、これとかは？この季節限定だし、結構可愛いし。ほら、一番人気って書いてある」

江「よし、これにしよう」

「はや！」

江「決断力だいじ。買ってくるわ」




みんなが買っていくのを見送る。何買えばいいかわからなくて偵察してたんだけど、けっきょく迷走したままだ。

お母さんにはバームクーヘン。お父さんにはブランデーの入ったチョコレート。宅配ですぐに送れば腐りはしないだろう。

問題は良平先輩と壮馬だ。壮馬は部活の後輩だし、夏休み明けに旅行のお土産を貰ったからお返し。




(良平先輩は、まあその、……色々助けてもらったし、いやほら、借りを返すいい機会だと思って……)




なんて心の中で言い訳してみる。しかしあの二人の好みなんてさっぱりわからない。




入「まだ悩んでんのー？」

増「先輩と後輩だっけ？この辺とかどう？」

江「その人たちの何が好きとか、嫌いなもんとか知らねえの？」




今更だけど、友達と遊園地って初めてじゃないか。そして今は私のために色々頭ひねらせてくれてるんだよな。




江「え、なにその顔」

「いやなんか、こうやって誰かと買い物して、一緒に悩んでもらうの新鮮だなって思って」

増「あー……」

江「A、おれたち以外に友だちいないもんな」

入「女子のお友だちなんていないもんねー」

「痛いところを正確に刺してくんなよ……」

増「でもオレ達いるし！またいつでも付き合うぜ！てかまた遊びに来よう！」

「まっすーいいやつ……」

入「まあ、予定が合えばねー」

江「気が向けばな」




ふたりもセリフこそ適当だが微笑んでくれた。




入「あ、これいいんじゃない？なんか誰にでもうけるやつ」

増「こっちどう？……あ、これもよくないか？……これとかは？」

江「いやこれでしょ。もう定員のおねーさんに聞く方が早くね…？」

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