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俺達の望む未来 ページ10

───





たこ焼き、焼きそば、りんご飴、クレープ、焼き鳥、肉巻きおにぎり、イカ焼き、焼きトウモロコシ……。

手にたくさんのビニール袋を下げて、石畳の階段を降りる。人混みを抜け、細道に入り、いつもの坂を登る。着物を着た奈々は、なにか考え込むように空を仰いでいた。




良(そんなにおみくじダメだったのかなぁ……)




良「なぁ、奈々。別におみくじくらい気にすることないと思うよ。ほら、低い方が伸びしろがあるって言うかさ」

「………」

良「俺は大吉だったから、今年も一緒にいればいい運がうつるんじゃ、なんて……」




茶化してみたものの、浮かない顔は変わらない。あーだこーだ言っていると、突然奈々が立ち止まった。




「良平さん」

良「なに……?」

「良平さんが今望む未来ってなんですか?」

良「俺の望む、未来?」




『未来』なんて、はっきり考えたことなんてない。いつだって俺は『今』が大切で、『今』を一番に考えてきた。その俺が、未来に望むことは───




良「望みすぎないこと……かな」




理想を押し付けて、お互いに希望して、夢を叶えてくれと願い続けた。だから俺達は、『今だ』『今が』『今を』と叫んだ。




良「奈々は?」




聞いてなんになる。きっとこの子は、まだ迷ってる。




「………変わらないでいること」




ほら、やっぱり。

誓ったじゃないか、もう迷わせないって。言わなきゃ、この子を救わなきゃ。俺が分かる最後で唯一の答えを……。




良「……奈々、無理なんだよ。奈々がどう頑張って変わらないでいようとしても、周りがどんどん変わっていく。人も、町も、空も、あの家の屋上から見える景色も。まばたきしてる間に、色を変えて、音を変えて、形を変えて、匂いを変えて、進んでいく」




俺達はたぶん、幻想のお互いと手を繋いでいた。そばにいてと望んで、行かないでと引っ張って、ずっと同じ場所に座って周りを眺めていた。

期待はずれと言われるのが怖くて、同じ問題に答え続けた。
もういらないと言われるのが怖くて、ただそばにいることを選んだ。

求められている間だけ、彼女が願った姿で。



それじゃだめだって、とっくに分かっていたのに。

もう一度、約束をしよう→←初詣だとかおみくじだとか



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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時

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