おせち料理の意味 ページ7
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順番にお風呂に入り、歯磨きをして、新品の服に着替える。それから重箱に入ったおせちを取り分けて『いただきます』と挨拶をする。
良「なぁ、奈々」
「なんですか?」
良「おせちの意味って知ってる?」
「知ってますよ。毎回社長が新年の挨拶で言ってるじゃないですか」
良「そうそう。なのに一向に覚えられないんだよね」
「そうですね〜。僕が覚えてるのは、『数の子は子孫繁栄』とか、『黒豆はマメに働く』とか、『伊達巻は知識が増える』とか、『栗きんとんはお金に困らない』とか、『ぶりは出世する』とかですかね」
良「あ〜、聞いたことあるかも」
「だいたいお酒が回って誰も聞いてない節ありますもんね」
良「今年も挨拶回んなきゃ行けないかなぁ……」
「ですね〜。たぶんそろそろ連絡が………」
<ブブッ>
「来ました」
良「はぁ……。じゃあまあ、これ食べたら行くか」
「ですね」
去年は引越し準備に追われて、少ししか顔を出すこともなかった事務所主催の新年会。確か、良平さんとおせちをつついて、それから初詣に行ったんだ。
社長「あら、奈々と良平じゃない。あけましておめでとう!」
「あけましておめでとうございます」
良「おめでとう。今年も何卒よろしく」
社長「えぇ、よろしく。………さて、琴子」
琴子「はい」
良「えぇ〜、今年もやるんですか〜?」
社長「もちろんよ。………良平は、デデン!執事ね」
良「うっわ、いちばん俺らしくないとこじゃん」
うちの事務所恒例の正月なりきり大会。くじを引いてそこに書かれてるお題をやらされるのだ。ちなみに拒否するとお年玉が貰えないプラス社長のありがたーいお話二時間コース。
社長「あ、奈々はこれを着たら免除よ」
「なんですかこれ」
社長「着てのお楽しみよぉ。琴子、任せたわね」
琴子「はい、かしこまりました社長」
渡された紙袋を受け取り、琴子さんに連れられて空室に入る。
琴子「どう?苦しくない?」
「苦しい」
琴子「食べすぎね。スイーツ控えなさい」
「今度は耳が痛くなってきた。……え、髪もやるの?」
琴子「もちろん。今日くらいは女の子らしい格好しなさい」
「………わかった」
着せられたのは三角柄の白と黒の着物。紅色のラインが目立つカジュアルな和服だ。髪は片方を三つ編みにして耳にかけ、装飾がされた金色のバレッタでとめられた。
「琴子さん。僕は、これから何をやればいいのかな……」
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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時