補習の時間 ページ42
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「『私たち、親友になれると思ってた。……君はそうじゃなかったんだね』
『貴方にたまらなく会いたいよ……。ほんとうに僕の声は届いてる…?』
『例えばもし…なんて言うものに、俺は期待しないって決めてるんだ』
『わたくしはシャルロッテ、みんなはロッテって言うんだけど、彼だけはシャルって呼んでくれるのよ。すてきでしょ?』
『あんたの声が聞きたいよ。あんた自身の本音を、オレに教えてよ、ね?』
『ぼくらはいつだって、キミが大好きなんだからね……!』
………あー……」
親友に裏切られ、人を信じられなくなった女子高校生。
遠く離れた恋人を想う、どこにでもいる気弱な男性。
母を死なせてしまったことに苦しむ、美大に通う大学生。
婚約者を一途に恋し続けている、一国の姫である少女。
みんなの願いを叶えて回る、かわいそうな神さま。
幽霊になったクラスメイトに、愛を伝える男の子。
弱く、強く。 儚く、甘く。 切なく、優しく。 不気味に、無邪気に……。大きく手を広げ、小さく縮こまり、頭を抱えながら、満面の笑顔で、飛び跳ねて、軽やかに舞い、静かに涙を流し、手を叩く。
狭い部屋でクルクルと回りながら、性格と表情と声色を変えていく。
猫「お、練習中か?」
「あ、遅いよ猫先生」
猫「ごめんって、校長のお説教が長くてさ……」
「校長に怒られるなんて、何やったのさ」
猫「あー、………もう忘れた。過去は振り返らない主義なんだ」
「あっそ」
台本をリュックに直し、机に向かおうとする。
猫「あれ、芝居、珍しく行き詰ってんの?」
「………なんでわかった?」
猫「今白状した」
「………」
猫「沈黙はイエスと捉えるぞ。………なんかあった?まだ迷ってるんか?」
「……ちょっと、だけ」
猫「うむ、悩める皐月にいいことを教えてあげよう」
「いいこと?どうせいつもの屁理屈でしょ」
猫「人ってのは、宇宙一複雑でなんとも分かりにくい」
「先生、いいからこの問題教えてくださいよ」
僕の言葉を無視して続ける猫先生。するとくるくると回る椅子に座り、僕の前に来た。
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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時