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罪と罰 ページ40

「……じゃあ、ひとつだけ。どうしてもわからない問題があるんです」

浅「なに?」

「僕が犯した "罪" をどう償えばいいでしょうか」




静かなリビングに無駄に響く声。




浅「……罪?」


「『あんたがいなければよかったのに』と言った彼女に、僕はあの時何をしていればよかったでしょうか。

『ゴメン』とだけ残していなくなった彼に、僕はなんて言っていればよかったんでしょうか。

『大丈夫、泣いてもいいんだ』って震えながら抱きしめた友達を、僕は…ッ…傷つけて……」




───僕は、どんな罰をうければいいんでしょうか。




庭の木が、ガラス戸に当たってガチャガチャと音を立てている。頭の中で砂嵐が暴れるように響いてくる。

やばい、またやってしまった。最近不安定すぎる。自分でもわかってる。……分かってるのに、言葉を抑えきれなくなっている。




浅「奈々ちゃん、誰に許してもらおうとしてるの」

「……!」


浅「奈々ちゃんが何も言わないのって、自分の言葉で傷つけるのが怖いから?

奈々ちゃんがいっつも無理して溜め込むのは、弱音を履いて困らせたくないから?

奈々ちゃんが俺たちを頼らないのは、いつか離れていくと思ってるから?」


「…………」



肯定も否定もできずに俯いてしまった僕の頭に、ぽんと大きな手のひらをのせると、「よしよし」とゆっくり撫でながら浅沼さんが呟く。




浅「変わることより変わらないことの方が難しかったりするよ。それとおんなじくらい、変えようとしてるのに変えられないことだってある」

「……はい」

浅「ぶっちゃけ、"後悔" とか "あの時こうしてたら" なんて今更どうにもなんないよね。だから、次会った時何をすればいいかを考えるようにしたらどうかな」

「……次?」

浅「奈々ちゃんの性格はきっと変われないし、奈々ちゃんの過去はどうやっても変えられない。だったら、次会った時になんて言うか……みたいな所から考えたら?『ごめん』でも『ありがとう』でも、もっと別のなにかでもさ」

自分への嘘→←非の打ち所がない



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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時

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