先輩の声 ページ37
「それなのにいつも……いつまでも僕は子供で、全然成長できなかった。
兄さんに助けてもらうばっかりで何も力になれなかったし、いつも応援してもらうばっかりで何も返せなかった。
変わりたいのに変われない部分と、変わりたくはないのに変わってしまうこと。僕は一体何をすれば、どうすればいいんでしょう……」
なに言ってんだろう。
頭の中が整理できなくて、でも溢れ出した言葉は取り留めなく零れてくる。次から次へと、本音が口の端から漏れていく。
まあでも、どうせ作ってんのはバレてんのか……。
「僕に何ができるんだろうって、僕ができることはなんだろうって。考えて、考えて、結局いつも自分中心になってたんです。……そんなんだから、あいつらのこといつの間にか傷つけてた。僕が弱いまんまだったから……」
入「奈々……」
「最近ね、素直になろうとしてたんですよ?無理にせきとめてた感情を表に出して、ずっと見せたくなかったありのままってやつをさらけ出して。それで!
……それで、何か変わるんじゃないかって……。でも、そう簡単に答えなんて見つかるもんじゃないですね。結局なにも、なんにもわかんない……」
最後の方はもうほとんど独り言のようだった。勝手に語り出して、いったい何がしたいんだろう。困らせたいわけじゃないのに、これじゃあ飽きれられる。
江「別に、急ぐ必要ないんじゃない?」
「江口さん……」
江「未来なんて誰にもわかんないし、こうなればいいなってくらいでも別にいいんじゃないの?」
「でも……」
豊「進路なんて誰でも悩んでるよ。未来に不安がない子なんていない。大人だって、俺だって未だに悩んでる。
……奈々はもうちょっと肩の荷を下ろすべきだよ」
「しかし……」
鈴「可愛いなぁ、……俺はいいと思うけどな、子供らしくて」
「……だから、子供扱いされるのが嫌なんですよ、僕は」
拗ねたように頬を膨らませると、ムニっとつねられた。
鈴「いい子な奈々は俺好きやけど、いい子ばっかりは疲れるやろ。たまには自分にわがまま、してみたら?」
大人の目をしてる。みんなちゃんと大人やってる。それなのに、なんで僕は変われないんだろう。
違うまただ………もう、どうしたらいいんだよ……。
また、光が見えなくなってきてる。
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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時