五月の星屑は金平糖【男性声優】11 (ページ26)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:26,457 hit

月がきれいな夜はページ26

▪▪▪

晶「センチメンタルひたってんのか」

みんなと分かれて駅に向かっていると、後ろからしった声が聞こえた。

「半笑いで近ずいてくんな。……今日は月が綺麗だなって思って眺めてただけだよ」

晶「プロポーズ？」

「あれ、晶ってそういうの気なるタイプだっけ？晶こそセンチメンタル～？」

晶「ちっげーよ。姉貴がそういうの話してたから」

「どの姉さん？2番？」

晶「いや、3人目。…ってそんなことはどうだっていいんだよ」

後ろから追いかけてきたらしい彼の息が整ってきたようだ。晶の黒髪がやけに月を反射して、さわさわと揺れている。綺麗だなと思いながら足を進めると、晶は隣を歩く。

晶「………なんか、あったりしたか」

「みんなそう言うなぁ。僕そんなにわかり易くないはずなんだけど」

晶「それ思ってるのお前だけだと思う。……柚くんになんか言われたんだろ」

「な、なぜ分かった！？」

晶「………あんたらふたりは、よくふたりだけの秘密を作ってる」

おどけたふりをしても騙されてくれないみたいだ。

「………わかっちゃう？」

晶「なんとなく。奈々は柚くんがきらいなの？」

「嫌いなわけじゃないよ。柚くんの性格が苦手なだけ」

晶「似てるから？」

「………ほんとにわかるんだ」

晶「だてに何年も一緒にいてねえからな。

そのくせあの椿さんとも似てるとこあるから、あの人との間には独特の雰囲気を出してて、いつも柔らかい空気が流れてる」

観察眼は人一倍ある子だ。それは柚くんや椿さんも。晶の場合、そんなのお構い無しにいろいろぶっ壊していくけど。

「………晶は、僕に変わってほしい？進んでほしいと思う？」

晶「そんなの、お前が決めることだろ。僕に決定権なんてない」

「わかってる。それでも、……言って欲しいんだよ」

誰かに正解をもらなければ、喋ることすらままならないのだから。
誰かに問い続けてもらわなければ、前を見ることすら出来ないのだから。

それくらい、僕は弱虫でひ弱な人間なのだから。